2000年から2008年ごろまでを「ゼロ年代」と呼ぶそうです。
第二次ベビーブーム世代の私からみると、このゼロ年代は日本が変質し続けた時代だったと思います。
90年代に生まれた変化が社会の隅々までいきわたった時代というか・・・
この時代を象徴する、非常に革命的だったと私が感じるコンテンツがひとつあります。
「バトル ロワイヤル」
99年に小説が、2000年に映画が公開され、賛否両論の大ブームを引き起こしました。
このようにwikiにも社会に出すことへの抵抗があったとあるように、当時、この作品は確かに衝撃的でした。
当時の人々が今まで見てきたものの見方を変えさせ、彼らに新しい世界観を提示する作品だったのです。
ブーム後、この作品が普及し浸透した結果、この設定がもう目新しいと思えないほど似た作品が増えていきます。
「殺しあう」ことに一般的な読者が感情移入することは難しい。
けれど「他が死んでも自分だけは生き残る」というテーマには皆が食いついたのです
近年、若い世代向けの情報が耳に入る環境にいるだけで、あまり日本の作品に触れなくなっている私ですが、すぐに思い浮かぶのは以下の作品でしょうか
リアル鬼ごっこ
青鬼
進撃の巨人
ダンガンロンパ
個人的に「バトルロワイヤルの子孫たち」と感じるこうした作品には、以下の共通点があると思います。
- 主人公たちは「敵」が主導権を握るステージの中に無条件に放り込まれています
- 主人公以外の仲間はストーリーが進むごとに失敗し、ステージから消えていきます
- 敵が与えるダメージの殆どは物理的な死です
- 主人公とその仲間の人間関係は恋人以外とは、さほど親密ではありません
- 恋人が登場する場合、美しく従順ですが、往々にして主人公の知らない秘密をもっています
- 両親や祖父母はあまり登場しません
- 主人公たちはステージの秘密を暴くこともありますが、それは外部の誰かによって残されてたものを利用するという受動的な解決です
今年、映画が大ヒットした「暗殺教室」もまた、
こうしたバトルロワイヤルを先祖に持つ作品群の一種の進化形かと思います。
でもね、こんな話ばかり10年以上も、もう飽き飽き。
――気心の知れない偉い人に、得体の知れないところに連れてこられて
どこから凶器が飛び出してくるか分からなくて、謎ばかりで
いつも心の底は独りで――
いくら日本中のマスコミが日本の未来は暗いといっても、
テレビが押し付けるそんな世界観を選ぶ必要ないのです。
どんな世界に生きるかは、私たちが決めていいのです。
そりゃバブルの頃と較べたら、爆買い中国人と較べたら
経済的に余裕がない人が多いかもしれません。
でも、せっかく戦争の貧困をバブルで償った後に生きる世代なのに
そういうものでしか生きる証を測れないんでしょうか
わたしたちが今求めてるのは、今までを根本的に変える新しい価値観です。
でも、新しいものって何だろう
ぼんやりと浮かぶイメージを書いてみると
・主人公は与えられたステージの中で泳ぐものではなく、ステージの一部である
・主人公が一番強いヒーローでない
・一番劣ったものであり、一番優れたものである
・主人公は作者であり、読者である。誰の心にもあるものである
・問題解決のカギを自分達の中にもっている
こんなメッセージでバトルロワイヤルの次の革命を起こせる作品が現れないか・・・
そう考えて、ふと、思いついたのが「おそ松さん」です。バトルロワイヤルほど、圧倒的なブームを呼んだ作品ではありませんが、今まで世にあふれてた類型的な作品とも、昭和の原作とも違う。
全話見てはいないのですが、おそ松さん人気は、もしかしたら、これから来る新しい時代の萌芽なのかもしれません