日本の伝統に思うこと

手塚治虫の妹さんの逸話から考える詰め込み教育

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兵庫県宝塚市に中山寺という有名なお寺があるのをご存じでしょうか?
かくいう私も、昨年から年配の方と接する機会が増える前は、まったく知らなかったのですが。

 

この中山寺では毎年8月9日になると、「星下り」と呼ばれるイベントが行われます。

古来より8月9日に中山寺にお参りすると、西国三十三所観音霊場のすべてにお詣りしたのと同じ功徳があるといわれています。
この日は、「四万六千日(しまんろくせんにち)」ともいわれています。「四万六千日」とは、この1日で46,000日お詣りしたのと同じ功徳が得られる日という意味です。

http://www.nakayamadera.or.jp/sub2.html

中山寺の近くには手塚治虫さんのご実家があったそうです。
先日、手塚さんの妹さんの元同級生という、やはり中山寺の近くにお住まいだった方から、貴重なお話をいくつか聞くことができました。

 

手塚さんの自宅は兵庫県の宝塚でした。しかし妹さんは越境して大阪府内の豊中の女学校に通っていたそうです。手塚さんも大阪の北野高校出身ですね。越境する学生は地元の学生より月謝がおよそ三割増しだったそうです。赤い封筒 白い封筒と、各自が持つ封筒の色で月謝の違いがわかるようになっていたといいます。
元来、学区による制限はなく、学生はどこの地域に住んでいても好きな学校に入学できました。しかし戦争が長引くにつれて、規制が生まれたそうです。

 

手塚さんの妹さんはピアノが得意だったといいます。友人たちと宝塚歌劇団を鑑賞しに行ったりすると、彼女はその場でメロディを覚えました。当時はマイク機能のあるスマホや携帯なんてありませんでしたからね。
そして自宅に帰ると、友人たちの前でその曲を弾いてみせたそうです。それに合わせて皆で歌ったのが、私がお話を伺った方にとっては、いい思い出だとか。
妹さんはのちに音大に進んだそうです。
ちなみに絵も、お兄さんの手塚治虫さんの絵そっくりと言っていいほど上手だったとか。

 

手塚さんや妹さんが学生だった時代の日本は丸暗記させる教育だったといいます。若い頃に覚えたものは忘れないもので、私がお話を伺った方も八十歳をとうに超えているにも関わらず、10代で学んだ漢詩などを今でも暗唱できるそうです。暗記力だけでなく、頭脳もしっかりしている方で、先日も趣味の会のイベントに寄せて1000字近い見事な文章を用意してくれました。

そういえば、高齢にもかかわらず現在もテレビで達者に活躍している黒柳徹子さんも暗記が得意だといいますね。

 

NHK BS世界のドキュメンタリー「目指せ!記憶力世界一 ~スウェーデンの挑戦~」によると、世界記憶力選手権の歴代チャンピオンはイギリスだそうです。イギリスは時代の流れを素早く読む国で、日本が繁栄する何百年も前から先進国の地位を守り続けています。

意外に宗教的!な社名の日本の大企業海外からみた日本の企業ランキング 。一位はやっぱりアノ企業で紹介した企業はじめ、世界に通用する日本の大企業の多くは、戦前の教育を受けた人たちが創業した企業です。

近年の日本では暗記重視の詰め込み教育が悪、または劣ったもののように扱われがちですが、それは戦後に広まった誤った認識かもしれません。

 

その方のお話しだと、星下りの時期は流れ星が多く、夜空を見上げていると、星が中山寺の本堂の建物に向かって流れていくように見えるといいます。そのさまが、まるで観音様が本堂に入ってくるかのように感じられたそうです。
星下りという美しい名称の由来はそれかもしれませんね。

 

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