小児性愛の「島」を作った大富豪ジェフリー・エプスタインの逮捕とその死が世間を騒がせてますね。
アンドリュー英王子など大物の客たちに、未成年の少女による性的サービスを提供していた疑惑があります。
他にも島で悪魔崇拝をしていた、子どもを生贄にし、食肉を行ったなど、オカルト的な憶測に満ちた記事がよくみられます。
(参考外部リンク:「【閲覧注意:日本で報道されない】ジェフリー・エプスタインの悪魔崇拝」 NEVERまとめ)
・・・こうした記事が出るのは、もしかしたら、エプスタインがユダヤ系アメリカ人だからかもしれません。
From Trump to Prince Andrew: All the biggest names embroiled in the Maxwell trial#GhislaineMaxwell #JeffreyEpstein https://t.co/CABsvYjxm2
— The Independent (@Independent) December 9, 2021
↑若い頃のエプスタインとトランプ氏
エプスタイン あるユダヤ系アメリカ人の生い立ち
エプスタインという姓は、アシュケナージ・ユダヤに古くからある典型的な姓だといいます。
そのため、彼が起こした事件を受けて、ユダヤ系コミュニティからは反ユダヤ感情の増長を危惧する声もでています。
生前、エプスタインはニューヨークのブルックリンの出身だと公言していました。
それは嘘ではありません。しかし、彼の住所はシーゲート(Sea Gate)と呼ばれる、ブルックリンの中でも特殊なゲーテッドタウンにありました。
ゲーテッドタウンとは住民以外の人間が敷地内に勝手に入れないよう、仕切りで囲まれた防犯性の高い街です。どちらかというと富裕層向けの街の特徴として知られていますね。
シーゲートも、もともとはお金持ちのリゾート用として開発された街でした。
しかし、それは100年以上前の話で、その後は低~中所得者向けの居住地になりました。現在、住人の8割はあまり裕福でないユダヤ系です。
Our work continues constructing T-groins in Sea Gate, Brooklyn. #USACE #ARMY #ArmyStrong pic.twitter.com/FNFsylSUBk
— USACE NY District (@USACE_NY) January 19, 2016
↑シーゲート(Sea Gate)
エプスタインの両親はともにユダヤ系で、子どもの頃にヨーロッパから移民してきました。1900年代前半に移住してるので、ゴールドラッシュ後の新移民です。
(新移民とは?→「なぜアメリカの真似をする国は失敗するのか?理由は2種類の白人たち」)
エプスタインの母の旧姓はストロフスキーといいます。名前からして東欧かソ連のユダヤ系だったのかもしれません。
父は庭師、母は学校の補助員をし、フルタイムで働いていました。
エプスタインは二人の長男で、下に弟がいました。
エプスタインと弟はともに才能ある学生でした。数学が好きでピアノが得意でした。
当時はやさしく温和で落ち着いた性格だったといいます。
やがてエプスタインはイタリア系と黒人とユダヤ系が混在する高校に進学します。
生徒の9割がイタリア系ブルーカラー労働者の家庭の出身という、暴力的な学校でした。イタリア系の生徒たちは、ユダヤ系をきらっていました。
この時代のブルックリンの南部は、ユダヤ系差別があたりまえにありました。
当時できた恋人の母親にも「ユダヤ系はどうせイタリア系女性と結婚する気はないのだから」と交際を反対されます。
高校を飛び級で卒業した後、エプスタインは理系の専門校を経てニューヨーク大学に進みます。しかし学位をとることはありませんでした。
のちに富豪になったあと、コンプレックスの反動でしょうかハーバード大学に多額の寄付をし、「ハーバード・マン(Harvard man)」とよばれるまでになります。
大学をやめた後、エプスタインは数学教師の職をえました。しかし、2年ほどで解雇されてしまいます。
それから彼はウォールストリートに居場所を見出しました。そしてヘッジファンドで多額の富を得ることになります。
逮捕前のエプスタインはマンハッタン最大の屋敷に住み、他にも無数の不動産を所有していました。
金融資産の大半は海外にあり、特にスイス銀行に多数の口座を持っていました。タックスヘイブンにも預けていました。
そのため、正確な金額はアメリカの報道もよくわからないようです。
エプスタインは正式な結婚をしたことはなく、子どももなかったようです。
彼の財産は、弟が相続することになるといわれています。
アメリカにおけるユダヤ系差別
ユダヤ系大富豪、エプスタインの挫折の多い前半生・・・
日本人の中にあるアシュケナージ・ユダヤの超然としたイメージと、かけ離れていることに驚かれた方もいるかもしれません。
今回の事件のネットの反応を通して感じたのは、北米には
「ユダヤ系というのは裏で何をやっているかわからない」
と不信感を持ち、実際にそれを表明する人がかなり多いということです。
もしエプスタインがユダヤ系でなかったら、オカルト的な記事はここまで多くなかっただろうとも思います。
エプスタインの「島」に向けられた食人や子どもを生贄に捧げるといった疑惑は、旧約聖書にあるユダヤ教の儀式 燔祭から連想されたものかもしれません。
(関連記事:「日本人がついていけない聖書エピソード5選 脱亜入欧できない真の理由」)
またキリスト教は子どもへの虐待を深い罪としていますが、ユダヤ教は旧約聖書で知る限りだと、そういった教えはないようです。
(関連記事:「どうしてアメリカ人やヨーロッパ人は子供を特別扱いするの?」
欧米にユダヤ系への差別があると知っていても、具体例はナチスぐらいしかわからなかったのですが・・・こういうことだったんですね。
日本にはびこるユダヤ系への誇大妄想や陰謀論は、もしかしたら、こうしたユダヤ教徒を不気味がる欧米キリスト教徒たちの姿勢を真に受けた結果なのかもしれません。
・・・しかし、ユダヤ系の方も、さすがにやられっぱなしというわけではないようです。
猟奇性ばかりが取り上げられがちなこの事件、実は一筋縄ではいかない面もあります。
事件の様相を一変させる「元恋人」の素性
Remember...#Trump "wished her well"... #GhislaineMaxwell #JeffreyEpstein pic.twitter.com/5xfboOcW1n
— Andy Ostroy (@AndyOstroy) December 29, 2021
結婚歴のないエプスタインですが、ずっと一人だったわけではありません。いつも共にいた女性がいました。
名をギレーヌ・マックスウェル(Ghislaine Maxwell)といい、元恋人だった女性です。恋人関係がなくなったあとも、二人はずっとパートナーとして親密な関係にありました。
マックスウェルもまたユダヤ系です。クリントン夫妻の一人娘チェルシーさんの結婚式は、ユダヤ教のラビのもと、ユダヤ式で行われましたが、この式に彼女が参列したことが知られています。
(関連記事:「クリントン夫妻の娘、チェルシーさんってどんな人?ご主人はユダヤ系?」)
エプスタインがやすやすと少女たちを島に集めることができたのは、このマックスウェルの力だといわれています。
女性の彼女が窓口になって、少女を安心させ、エプスタインの元につれていき、二人がかりで脅して少女を従わせていたというのです。
すすんで少女を元恋人に斡旋するなんて・・・普通なら考えがたい感覚の女性ですね。
しかし、彼女の出自を知ると、違う背景がみえてきます。
マックスウェルの父はロバート・マックスウェルといい、イギリスのメディア王とよばれた人物でした。
第二次世界大戦後に成功し、エプスタイン同様、一代で大富豪になったユダヤ系です。
死後は、はるばるエルサレムに葬られたほど、親イスラエルの人物でした。
モサド(イスラエル諜報特務庁)の工作員だったとも報じられています。
The story of Robert Maxwell: Ghislaine's disgraced media-mogul dad https://t.co/GKE9RU7Mvw pic.twitter.com/gc24wBstW6
— New York Post (@nypost) July 3, 2020
↑ロバート・マックスウェルと娘ギレーヌ
華々しい交友も「島」も組織的なもの?
エプスタインの華々しい交友リストは、ユダヤ系でない人物が大多数を占めます。
やり玉にあがっているトランプ氏、クリントン氏、アンドリュー王子はもちろん、ビル・ゲイツまで記録があるそうです。ケネディ家、ロックフェラー家とも付き合いがありました。
エプスタインの悪名高い自家用ジェット、ロリータ・エクスプレスは3日に一度は飛んでいたといいます。フライトは自身のためではなく、たいていゲストを同伴していたと英語版wikiにはあります。
なぜ、そこまでしてキリスト教徒の大物たちと親しくなりたがったのでしょう?
そして、こうした人々を、例の島や、アジアなど、いかがわしい場所に連れて行っていた噂がある・・・弱みを握るともいえますね。
彼に少女たちを斡旋していたのはモサドを父に持つといわれるユダヤ女性である・・・
・・・エプスタインは実際は暗殺されたという噂が根強いです。だとしたら、その背景は何でしょう・・・憶測を呼びます。
But seriously, what's up with this weird temple thing on Jeffrey Epstein's private island? pic.twitter.com/njxfg2HahN
— jon gabriel (@exjon) July 9, 2019
↑少女たちが集められたエプスタインの島にある謎の建造物
日本でモサドを検索すると、すぐにこんな記事がヒットしますね。
「スパイ大国イスラエル「モサド」の暗殺手口が神業過ぎる」(外部リンク)
英語圏の検索エンジンだと「エプスタインはモサドのために働いていたのか(Did Epstein work for the Mossad?)」という直球な掲示板スレッドまで見つかります。
ユダヤ系に侵食されるアメリカ
第二次世界大戦の後、世界の頂点になったアメリカは、公民権運動で変化し、いまは情報氾濫の時代にあります。
聖公会はリベラル化し、植民地開拓時代からの原動力だったキリスト教の信者は減っています。かつてアメリカを繁栄にみちびいたプロテスタントの古い家系は、力を失いつつあります。
(関連記事:「聖公会 そして日本人と交わらないアメリカ上流階級の正体」
「世界の頂点 アメリカ上流階級の憂鬱」)
その裏で台頭してきたのが、クシュナー家、サンダース氏、ザッカーバーク氏、そしてエプスタインのようなユダヤ系の勢力です。ちなみにアメリカのユダヤ系のほとんどはゴールドラッシュ後に移住した新移民です。新興勢力ですね。
ユダヤ系の暗躍は誇大妄想や都市伝説でなくなってきた・・・エプスタイン騒動はそう感じるような事件です。
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https://dailystormer.name/jeffrey-epsteins-alleged-madam-is-the-daughter-of-a-mossad-agent/
https://www.tigerdroppings.com/rant/politics/did-epstein-work-for-the-mossad/84377039/
https://www.dailymail.co.uk/news/article-7377133/Bill-Gates-REFUSES-reveal-flew-Lolita-Express-Jeffrey-Epstein-prison-release.html
https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Maxwell
https://en.wikipedia.org/wiki/Jeffrey_Epstein