海外の文章を翻訳していたとき、ある面白い記述にぶつかりました。
奈良時代に書かれた「新撰姓氏録」によると、日本の松野という姓の者は,古代中国の呉の国の王、夫差の子孫であるというのです。
「夫差」とはwikiによると
夫差(ふさ、? - 紀元前473年)は、中国春秋時代の呉の第7代、最後の王。姓は姫。春秋五覇の一人に数えられることがある。
松野という姓は日本では珍しくないものですが、中国の呉の国の王族とつながりのある姓だったんでねすね。
(関連記事:「日本皇室は中国の呉の王族の末裔なのか」)
調べてみたところ、この奈良時代に書かれたという「新撰姓氏録」
群馬県立女子大学の北川研究室によるページから、その内容を詳しく閲覧できるようになっています。
北川研究室による「『新撰姓氏録』氏族一覧(H15.9.8)」へのリンク
上記リンク先は
○第一帙(皇別)
○第二帙(神別)
○第三帙(諸蕃・未定雑姓)
に分岐しており、各々のページにリストが掲載されています。
その中にある姓なら、先祖をさぐることができるのです。
たとえば、(皇別)ページに朝臣と分類されている「小野」という姓、「始祖」の欄をみると「彦姥津命五世孫米餅搗大使主命之後也」
とあります。
米餅搗大使主をwikiで調べてみると
米餅搗大使主(たがねつきのおおおみ)は、孝昭天皇第一皇子の天足彦国押人命から7世代目の子孫。小野氏、春日氏、柿本氏らの祖となり、小野氏の祖神を祀る小野神社などで祀られている。
先祖は神社に祀られている皇族のようです。
「小山」という姓だと(神別)に分類され、「高御魂命子櫛玉命之後也」とされています。
この高御魂命、wikiで検索すると
タカミムスビは、日本神話の神である。別天津神の一柱。
『古事記』では高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、『日本書紀』では高皇産霊尊と書かれる。また葦原中津国平定・天孫降臨の際には高木神(たかぎのかみ)という名で登場する。
「産霊(むすひ)」は生産・生成を意味する言葉で、神皇産霊神とともに「創造」を神格化した神である。
この高御魂命の子の櫛玉命の後裔・・・小山という姓の家は元々は神道の神様の子孫の家ということでしょう。すごいですね。
平凡な姓をもっていると、自分の姓の由来を、先祖が山の近くに住んでいたのだろう、村と村の間に住んでいたのだろうとか、単純に考えてしまいがちですね。
実際、国民全員が姓を名乗ることを義務づけられた明治期には、村の名前を住民全員の姓にしたり、逆に明治新姓と呼ばれる奇抜な姓をつけるといったことも行われていたといわれています。
けれど、「新撰姓氏録」に載っている姓だったら、
もしかしたら皇族の子孫だったり、
古事記、日本書紀に載っている神々の子孫だったり、
呉王朝の子孫だったりするかもしれません。
日本の姓は同じ漢字文化でも中国、朝鮮と比べて多様ですが、それは日本の神々の多さに関係していたのかもしれませんね。
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