日本の未来は中南米になる?予言の考察 日本人の知らないアメリカ

リアル「北斗の拳」の国エルサルバドル マンガで知る中米の治安の悪さの理由

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中米はアメリカとの結びつきが強い国々が連なる地域ですが、多くの日本人にとってブラックボックスになっています。そして、知れば知るほど、どうして戦後のマスメディアがこの地域に対して口を閉ざしているのかがわかります。

 

世界で最も暴力的な国 中米エルサルバドルの物語

ラテンアメリカにあるエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの三国は、英語圏ではまとめてノーザン・トライアングル(Northern-Triangle)と呼ばれます。
ノーザントライアングルという名称は、もともとは三国の経済的な連携を目指して付けられたものでした。しかし、今は貧しく治安の悪い国々を象徴する言葉になっています。

以下は英語記事Why So Many Central Americans Are Seeking Asylum in the U.S.に日本語訳をつけたものです。

若者がエルサルバドルで暮らすのは危険だ
街に出るとギャングがいやがらせしてくる。
彼らは金をたかり、警察が来たときに知らせる役割を若者にさせたいと思ってる。
若い女性はギャングと恋愛関係や性的な関係を持つことを強いられる。
若い男は薬物を運ばされたり、使い走りをさせられたり、ギャングのメンバーになることを求められる。
もし「嫌だ」といえば自分自身や家族を傷つけられる。

 

エルサルバドルはまさに、マンガ「北斗の拳」を思い出させる国です。

 


有罪を宣告されたエルサルバドル人の若者たち(アルジャジーラのyoutube画像より)

アメリカ軍が生み出したDeath Squad(死の部隊)とは?

漫画の中に「デス・スクアッド(Death Squad)という言葉が出てきます。日本では「死の部隊」と翻訳されます。

デス・スクアッドは政権に邪魔になる民間人を秘密裏に抹殺する組織を指します。
特にこのノーザン・トライアングル3国とコロンビアのそれは、アメリカ軍から軍事指導やサポートを受けているのが特徴です。

1980年代から90年代にかけて、アメリカは中米の国々の親米政権を守るため、政権側の民兵組織に軍事訓練を施していました。彼らは内戦時には、アメリカ軍のサポートを受けて国内にいる左派勢力と戦いました。

アメリカ合衆国などでは「死の部隊は社会秩序を維持するために活動するのでテロリズム組織ではない」「ソ連や社会主義中国の干渉に対する反抗であり自衛戦争」とする主張がみられる。

日本wiki「死の部隊」

しかしその一方で英語版wikiには「デス・スクアッドが国家によってコントロールされないとき、反乱軍や組織犯罪グループになりうる」とあります。実際、そうした部隊が市民を対象にした虐殺事件も起こしています。

(エルサルバドルの)デス・スクアッドは女性や子供を含む非武装の市民を攻撃したり、拷問や残虐行為をすることもためらいませんでした。

https://thelibertarianrepublic.com/a-brief-history-of-the-us-in-the-northern-triangle/

エルサルバドルにおいては現在ギャングを取り締まる側にもまた、デス・スクアッドの残党がいます。彼らもまた殺人や拷問をいといません。

ノーザン・トライアングルの他の国も似たような顛末をたどって、治安の悪い国になりました。そして母国から逃げてアメリカ行きを目指す人々が、国境に大量に押しかけるようになりました。近年、アメリカに移民する民で最も多いのは彼らヒスパニックです。

デス・スクアッドはアメリカの推し進める民主主義、右派政権に対立する勢力を排除するのに役立ちました。
しかし、そのあと、その「アメリカ軍から軍事訓練を受けた人々」はどうなったのか?
その答えが、中米の治安の悪さなわけです。

 


アメリカ国境の移民希望者
https://www.pri.org/stories/2014-03-13/last-stop-mexico-migrants-find-security-catholic-safe-house-facing-us-border

日本を「北斗の拳」化から守ってるもの

日本の自衛隊も長きに渡ってアメリカ軍から軍事訓練を受けてきましたが、その一方で旧日本軍の文化も引きついでいます。
そのため退役後の自衛隊員が現役時代に習得した武術や軍事技術を元に、市民に暴力を振るったり、暴力団と結びついて手っ取り早く利益を得るといった話は耳にしませんね。
自衛隊員の多くは、国のために正義の立場でなくてはならないという意識を持っています。
しかし、そうでない場合、エルサルバドルのようになってしまう可能性もあるということでしょう。

軍事に合理性しか求めなければ、本当の「北斗の拳」な世界が地上に生まれてしまう・・・。
「合理的に最短距離で成果を出す」ことを良しとする近年の日本において、非常に考えさせられる歴史です。

 


「How U.S. Involvement In Central America Led To a Border Crisis| AJ+」 アルジャジーラ

 

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https://www.kqed.org/lowdown/31036/why-so-many-people-in-the-northern-triangle-are-seeking-u-s-asylum
https://en.wikipedia.org/wiki/Atlacatl_Battalion
https://en.wikipedia.org/wiki/Death_squad
https://en.wikipedia.org/wiki/Sombra_Negra

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