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縄文人に最も近いのは韓国人?!ハプロタイプDの謎

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ハプログループD(総称D-M174)をご存じでしょうか?
日本土着の民、縄文人に多いとされるY染色体ハプロタイプDを持つグループ(型集団)です。英語版wikiによると、縄文人の70%近くがハプログループDに属するとあります。

そのため、ハプログループDは、弥生人や渡来人----つまり大陸の人々と日本人が民族的に違う根拠として、よく取り上げられます。
彼らは主にハプロタイプDではなくO3やO2bを持つためです。

 

ハプログループDが多いのはチベット人だけではない

日本人と同じくハプログループDの割合が高い民として、チベット人がよくあげられます。
チベット人の39%がハプログループDに属するという調査結果もあります。

あまり知られていませんが、ハプログループDが多い民はチベット人だけではありません。中国少数民族のナシ族や羌族にも、それなりの割合でみられます。
ナシ族の24.8%、羌族の18.2%がハプログループDに属するとされています。

ともにチベットに近い雲南省や、その周辺に住む民族です。

 

同じDでも違う遺伝子構成 チベット人と日本人

上記の理由から、日本人にもっとも近い民族はチベットの民だとする解釈をよく見かけます。

しかし実際には、チベット側の人々が持つDの遺伝子構成と、日本人の持つそれは、同じDでも少し違います。

チベット人に主にみられるハプロタイプDの型は
D-M15 (D1a)

一方、日本人が持つのは
D-M55(D1b)
と呼ばれる型です。

もともと中央アジアで発生したハプログループD(D-M174)は、各地方に分岐しました。そして東側に移動して変異して生まれたのがD-M55=D1bであると考えられています。

このD-M55を多く持つ民族は世界で日本だけです。
なので、日本人は世界で特異な民族だという主張も、間違ってはいません。

 

日本人の次にD1b(D-M55)を多く持つ民

日本に多くみられるD1b(D-M55)。
しかし、完全に日本にしかない遺伝子というわけではありません。

英語版wikiにはD1bの民が存在する地域として、日本以外の以下が掲載されています。

ミクロネシア地域: 9%
韓国: 4%

人口の少ない小さな島々で成り立っているミクロネシアを除くと、
日本の次にD1bを持つ民が多く住む国は、韓国です。
中国百度によると、特に釜山では多く、7.2%がD1b(D-M55)を持つとあります。

 

上図は英語版wikiにあるものと同じですが、この緑の矢印が示すルートからして、日本人と同じD-M55が韓国にあってもおかしくありませんね。

過去記事「中国人の地域ごとのDNAハプロタイプ一覧はこれ!日本人のルーツとの差は?」で取り上げましたように、弥生人は遺伝子調査から、中国の江蘇省周辺から移住してきた民と考えられています。

縄文人はそれより前の時代に、朝鮮半島から日本に移り住んだ民だということでしょうか・・・

 

富士山が隔てる日本最大のタブー

ハプロタイプD1bは、特にアイヌ人や沖縄人に多くみられます。
しかし彼らは江戸時代まで、本州の日本人と違う歴史を歩んできた人々でした。沖縄は天皇や将軍と無関係な独自の王朝までありましたね。
(関連記事:「沖縄人は源氏の子孫?日本のwikiには載ってない琉球王朝の話 」)

本州において、D1bは、東北や関東といった東日本に多くみられます。
英語版wikiによると、D1bを持つ人々の地域ごとの割合は以下になっています。

青森県:38.5%
静岡県:32.8%
徳島県:25.7%
九州:26.4%
---------------------
沖縄:55.6%

ハプロタイプDつまりは縄文系の強い東日本と、弥生系の強い西日本・・・
その境目がどこであるかの意見は人それぞれです。

日本地図をざっくりと二等分して、中部地方、特に徳川幕府が始まるきっかけを作った関ケ原を東西の分かれ目とする説がよく見られますね。

しかし、

・ほんの150年ほど前まで、交通手段が発達しておらず、人力で移動するしかなかった点

・江戸時代まで移住の自由がなかった点

この二点を考えると
自然が作った関所である日本アルプスが、事実上の東西の境目ではないかと私は考えます。

方言を考えてもそうですね。同じ北陸地方に分類されていても、日本アルプスの西側である富山や石川は関西弁に近いアクセントがあります。
一方、東側である新潟は東北弁に近いといわれています。

また真ん中を日本アルプスで分断されている静岡県は、東西の地域差が激しいことで知られています。
(外部関連リンク:「静岡県民――東西文化の接点に、イライラするほど正反対の性格が混在」プレジデント・オンライン)

ちなみに電気の周波数の東西の境目も、静岡県を流れる富士川になっているそうです。

 

「縄文人と弥生人のどちらが優れているか」

・・・このテーマは日本において、ある意味、最大のタブーではないかと思います。私もここで取り上げる気はありません。

日本の歴史上の大人物たちや、日本経済を支える大企業の創業者、世界的な学者や文化人などを出した家系の出身地を調べていくと、おのずと答えが見えてしまうかもしれません・・・

 

※注意書き
この記事ではD1bの持ち主の地域差などについて、具体的な数字を載せています。
それを見て、今まで知っている調査データの数字と違うと思われる方もいるかもしれません。

D1bにまつわる調査は、やはり当事者である日本人および韓国人の研究者によって行われてることが殆どです。

日本において「日本人のルーツ」というテーマは人気や注目を集めるものです。その調査結果は政治的な議論から書籍の売上まで影響を及ぼすでしょう。世俗的な利害が生じやすいテーマです。
また、研究者自身、人間であり、当事者ですから、個人的な感情や理想も、どうしてもあるでしょう。

なるべく客観的なデータを求めたいという立場から、この記事にある英語版wikiからの情報は、世界各地の遺伝情報を研究しているアリゾナ大学のミカエル・ハマー博士( Michael Hammer)が中心になって行った調査の値のみ取り上げています。

ミカエル・ハマー博士の研究を掲載しているnatureのサイトのグラフ↓

D-P37.1=D
O-P31=O2
O-M122=O3
C-M8=D-M55同様、日本及び朝鮮半島に見られる型
C-M217=モンゴル人やツングース系に多い型

 

https://en.wikipedia.org/wiki/Haplogroup_D-M55
https://baike.baidu.com/item/%E5%8D%95%E5%80%8D%E7%BE%A4D/20103237?fr=aladdin
https://www.secret-bases.co.uk/wiki/Haplogroup_D-M55
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%BD%9F%E5%BC%81
https://matome.naver.jp/odai/2152435637968540301

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