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まさかの中米の勝ち組国 キューバに見る日本復活の方法

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近頃、「ベーシックインカム」についての議論が盛んです。新自由主義などと呼ばれていますね。

しかし、アラフィフ世代以上の中には、私のように「ベーシックインカムって、言葉を変えてるけど、共産主義と同じじゃないの?!」と思う方も、いるのではないでしょうか。

国民に平等に一定額の金銭を支給するのは、平等に食料や生活用品を配布する共産主義国の方法と、本質は同じでしょう。

日本人の多くにとって、共産主義はソ連の崩壊とともに、失敗論として片付けられていますね。
それが、なぜ今頃になって、ベーシックインカムと名を変えて、持て囃されるようになったのでしょう?

もしかしたら、そこには、共産主義と資本主義の実験場だったともいえる、中米諸国の結果が、反映されているのかもしれません。

中米の勝ち組国になったキューバ


https://www.youtube.com/watch?v=xKanuc6C03sより

キューバというと、商品棚に商品がないスーパーマーケットの映像が浮かぶ方も多いでしょう。
アメリカの経済封鎖によるものです。アメリカの目と鼻の先にありながらアメリカと対立してきたキューバは、慢性的に物不足の国です。

こうした情報しか知らないと、独裁的な共産主義政府の下で、キューバの人たちは、さぞかし貧しく惨めな生活をしているのだろうと思ってしまいますね。

しかし実際のところ、キューバ危機から50年を経た現在、キューバは中米内の勝ち組国です。

以下は国連開発計画のデータから、中米の主要国の教育、治安、貧困問題における数値を表にしたものです。わかりやすいように、良好な結果を出している上位2国の数字を赤色にしております。

キューバ パナマ コスタリカ エルサルバドル グアテマラ ホンジュラス ニカラグア 日本(参考)
成人が受けている
正規教育の年数
11.8 10.2 8.7 6.9 6.6 6.6 6.9 12.8
1日の収入が3.20ドル
以下の労働者の割合
0.8 2.3 0.7 4.4 12.9 23.1 23.0 資料なし
完全失業率 1.6 3.9 11.9 4.1 2.5 5.4 6.8 2.3
殺人発生率 5.0 9.4 11.3 52.0 22.5 38.9 7.2 0.3

 

驚いたことに、キューバは中米内で、教育、治安、貧困対策のどの指標においても、他より優れた結果を出しているのです。

 

経済面でも上位国

キューバは経済面でも、パナマ、コスタリカに次ぐ良い結果を出しています。

以下は中米主要国を一人あたりGDPが高い順に並べ、世界順位を併記したものです。

順位 国名 世界順位
1 パナマ 75
2 コスタリカ 80
3 キューバ 92
4 グアテマラ 125
5 エルサルバドル 133
6 ホンジュラス 158
7 ニカラグア 172

 

パナマ経済は、かつてアメリカが建設したパナマ運河に依存しています。
コスタリカ経済も、アメリカをはじめとする西側諸国の企業の誘致に頼っています。
そこを考えると、アメリカに頼らないキューバの結果は、出来すぎなぐらいです。

キューバ以外の中米の国々は、すべて民主主義国です。
アメリカと対立する勢力が内戦に勝利したニカラグア以外は、アメリカに従順な従米国でもあります。

キューバと中米の近隣の国々は、歴史背景や文化的、地理的な条件が近いです。
それゆえに、国の方針やイデオロギーの差が純粋に現れやすい「資本主義と共産主義の実験場」とみることもできます。

 


https://www.youtube.com/watch?v=YgOzUe53seoより

アメリカに頼れないゆえの繁栄

アメリカの貿易制裁を受けつつも、近隣の民主主義国をさしおいて、中米内の成功国になったキューバ。社会主義の成功モデルと評されることもあります。

なぜ成功することができたのでしょう?

冷戦終結後、バイオ立国へ

以下はキューバと周辺国の一人あたりGDP推移です。紺色のラインがキューバです。(英語版wikiより)

アメリカの経済制裁を受けてきたキューバ。後ろ盾だったソ連の崩壊後の経済は大きく落ち込みました。物資の不足も深刻になりました。

キューバは自立を迫られます。

そこで、キューバは国民に与えた高い教育を活かし、医薬品の自給自足を始めました。

必要に迫られたバイオテクノロジーの発達により、キューバは人口に対する科学者の割合がEUと同水準まで増えました。現在、キューバは自国に必要な医薬品の70%を国内で生産しています。

WHOによると、現在、キューバのバイオテクノロジー産業は約1,200の国際特許を保有しています。そして途上国を中心に50国以上で医薬品とワクチンを販売しています。
海外からの医療目的の旅行業も盛んです。

 

キューバの主な交易国は、ベネズエラ、スペイン、中国、ロシア、オランダ、カナダです。

英語版wikiによると、キューバでは国民の85%が自分の家を所有しており、財産税や住宅ローンの利子を払う必要もないそうです。

 

繁栄する有色人の国に共通するもの

キューバは日本人にとって「見上げる国」ではありません。

都市部のビル群が近代的で美しいわけでも、街中が衛生的に整ってるわけでもありません。
資本主義的な富裕層が集まるパナマやエルサルバドルの都市部のほうが、外観はきれいでしょう。

しかし、治安が良く、国民が安心して未来の計画を立てられる点、
高い教育を受ける機会が国民に広く与えられており、
誰でも、努力次第で知的労働者になるチャンスがあるという点は
中米の他の民主主義国より優れているといえるでしょう。
これは、共産主義ならではかもしれません。

それにしても、単純に考えると、強国アメリカが味方する国々は強くなり、敵対した国は弱まると予想してしまいますが、現実は逆ですね。

東南アジアのフィリピンとシンガポールの差を思い出します。
やはり、フィリピンは大国アメリカに素直に依存した結果、衰退し、
一方、シンガポールはイギリスに背を向け、当時貧しかった中国を支えようとした結果、先進国になりました。
(関連記事:
白人の真似ばかりの国 フィリピンは日本の未来か?
不景気しか知らない世代こそ見てほしい 日本に勝った先進国シンガポール 」)

日本も繁栄したのは、戦前教育を受けた世代が社会をリードした時代でした。アメリカに依存的な戦後教育を受けた人々に世代交代した後から、失われた30年が始まりましたね。
(関連記事:「経済大国を作った戦前世代、失われた20年の戦後世代」)

 

G7先進国は日本の仲間ではない

日本では自国の比較対象として、常に同じG7の先進国が挙げられますね。

しかし、そうした先進国は、すべて元宗主国や白人種としてのアドバンテージの下で繁栄しています。

彼らの国には、元植民地の第三世界や日本のような国から、自国が生んだお金を抱えて、嬉々として訪れる富裕層が後を絶ちません。過去記事「ソフトバンクは貧困国型の企業。国家のお金を渡してはいけない人たち」で述べたソフトバンクの孫さんのような人たちです。こうしたアフリカやアジアの富裕層は、自国より欧米先進国を信頼しています。自国の個性を伸ばすより、欧米と同じになることを目標としています。
(関連記事:「昭和までの大金持ちと、日本を貧しくした現代の大金持ち その違い」)

しかし、こうした有色人の国は、彼ら欧米の元宗主国と同じ方法を真似ても、決して勝てないです。日本人と同じようになることを夢見て、自国のお金を嬉々として運んでくれる外国人富裕層なんていません。

こうした国の繁栄を左右するのは、国の大小や、資源の有無以上に、自立心なのでしょう。キューバやシンガポールを見ると、そう思わずにいられません。

<関連記事>
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https://en.wikipedia.org/wiki/Economy_of_Cuba/
https://en.wikipedia.org/wiki/Cuba/
https://www.lifescienceleader.com/doc/will-cuba-be-the-world-s-next-leading-biotech-hub-0001#:~:text=According%20to%20the%20WHO%2C%20the%20Cuban%20biotechnology%20industry,the%20EU%20%28though%20with%20a%20much%20smaller%20GDP%29.

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