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日本人と違う視点?!中国人が考えるフィリピン没落の理由8つ

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以下は中国のネット上にある「菲律宾从亚洲第二富裕国,沦落到贫困的原因(アジアで二番目に豊かだったフィリピンが没落し貧しくなった原因)」です。
もともとは個人的な意見のようですが、評価が高いのか、あちこちのサイトに貼られています。

白人の真似ばかりの国 フィリピンは日本の未来か?」でとりあげましたように、フィリピンは50年ほど前まで、アジアで日本に次ぐ二番目の経済繁栄国でした。それが現在は、ASEANの中でも下位に位置する国に転落してしまっています。
・・・その没落の理由は、日本人も気になる方が多いのではないでしょうか?

日本では大体の物事が、西側諸国寄りの視点で語られますね。
しかし中国人はそういった視点にとらわれない分、興味深い意見を寄せる場合も多いです。

 

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中国人が考えるフィリピン失墜の理由

フィリピンは1960-70年代、国民所得、大学入学率、工業化水準において、アジアで日本に次ぐ位置にありました。その工業品は東アジアと東南アジアでよく売れ、その勢いは東京に迫るものでした。
当時のマニラはリトル・ニューヨークといわれていました。

しかし30年後、フィリピンはアジアで最も遅れている国の一つになりました。

その原因として以下が考えられます。

1:カトリック信仰の国であること

西側諸国のキリスト教の国々は基本的にみなカトリックよりプロテスタントの国のほうが発達しています。アメリカ、イギリス、ドイツなどのプロテスタント国家とイタリア、スペインのようなカトリック国家をみればわかります。ラテンアメリカにあるカトリックの国々をみれば、なおさらです。

 

2:フィリピン人の性質

フィリピン人は生まれつき楽観的で、組織や規律を重視せず、不安や憂慮をいだきません。

 

3:歴史と文化

スペイン領になる前のフィリピンには、民族文化がほとんどありませんでした。そのためフィリピン人は、スペイン文化を全面的に受け入れました。ブラジルのカーニバルをみればわかるように、ラテン文化は楽観的で熱情的です。
フィリピン人の元々の熱情性にスペイン的な熱情が加わり、熱情的すぎる文化の国になりました。

 

4:地理的、気候的な要因

フィリピンは熱帯であり、深刻な寒さにみまわれることはないです。凍え死ぬ心配はありません。土地が豊かで、農民は飢えることがあっても、餓死にするまでにはなりません。豊かな土地では一年中、収穫があります。食べるものがなければ木に登ってヤシの実をとればよいのです。そのため、人々にあまり危機感がありません。

 

5:政治体制

フィリピンはアメリカの大統領制と同じ政治様式を採用しています。大統領制は消耗しやすいうえ、権力が集中せず、水掛け論が多くなります。多くの先進国は議会政治を行っており、大統領制ではありません。

 

6:運の悪さ

歴代の大統領は基本的にみな腐敗し、私服を肥やす傾向にあります。マルコス大統領、エストラダ大統領、そしてアロヨ大統領まで、権力に執着するか、金銭に執着するかです。
まじめに国家経済の発展や教育を考えることがありません。

 

7:厳格な労働政策

フィリピンはアジアで最も厳しい労働政策を行っています。企業は従業員を雇ったら、基本的に会社が破産しない限り、ずっと雇い続けなくてはなりません。たとえ従業員が遅刻や早退、無断欠勤ばかりしてもです。
その雇用ルールは非常に厳しいので、企業は人を雇用しないようになり、投資も少なくなりました。

 

8:教育の軽視

フィリピンの教育制度は形骸化しています。政府が教育を重視しないのみならず、フィリピン国民も重視していません。フィリピンの教育費は基本無料ですが、フィリピン人たちはむしろ子供を街で遊ばせたがり、学校に行くよう求めません。

 

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いかがでしょう?

日本における一般的な視点と違うという意味で、個人的に興味深かったのが以下の3つです。

・「大統領制は消耗しやすく、水掛け論が多い」という意見

・楽観的で、不安や憂慮をいだかない特徴を欠点としてとらえている点

・熱情的すぎることもまた、欠点としてとらえてる点

・・・特に大統領制に対する客観的な意見は、日本で見ることはあまりありませんね。

 

フィリピンも終身雇用制がある?!

何より驚かされたのが、7番目に挙げられた日本の終身雇用制度を思わせる社員の守られ方です。
日常的に無断欠勤しても解雇されないなんて、日本以上かもしれませんね。

・・・それにしても、このフィリピンの「終身雇用制度」は、一体、どこから来たのでしょう?

さほど関係が深くない日本の制度を真似たとは、ちょっと考えられませんね。

小塩丙九郎氏のブログによると、アメリカでは1970年代頃まで、大企業のホワイトカラーは終身雇用が標準であったとあります。
その後、現在の流動的な雇用制度に変わったんだそうです。

独立後も、あらゆる文化をアメリカに追随してきたフィリピン。ドゥドルテ氏より前の歴代大統領や権力者たちは、長年アメリカと親密な関係にありました。フィリピンの「終身雇用制度」は、おそらくアメリカ由来のものでしょう。

そしてネタ元のアメリカが変化したあとも、フィリピンはそのままになっているのかもしれません。

 

・・・こういうと、
「日本の終身雇用制度も、戦後に入ってきたアメリカ文化が由来なのでは?」
などと考えてしまったりしますよね。

実際、一戸建て信仰や、専業主婦人気など、戦後に生じた「日本らしさ」には、1960年代までのアメリカ文化の影響と思われるものがみられます。
(関連記事:
戦後の日本人の原風景はアメリカドラマ
日本の住宅は本当に西洋の住宅より短命なのか?」)

 

・・・しかし、終身雇用制度に関しては、そのルーツを武士や丁稚の奉公制度にみる説が多いように、日本には鎖国していた時代から、そうした雇用制度がありました。

むしろ、それらが戦後に入ってきたアメリカ文化の「終身雇用制度」と重なって、現在みられる日本の終身雇用制度が完成したといえるかもしれません。

次記事「昭和が豊かになれた理由 中国百度で知る日本の終身雇用制度」では近年、悪者にされがちな日本の終身雇用制度がどこから来たのかについて取り上げてみます。

 

 

http://yujiiida.hatenablog.com/entry/2016/05/30/193051


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