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ビジネス書が人気なのに経済衰退が深まる不思議

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大塚家具のお家騒動、娘さんが社長になり、お父さんは新しく子会社を作ることになりましたね。
この親子と会社の行く末について、世の多くの人たちから、さまざまな意見が出ました。

 

私の予想だと、娘さんが社長になった場合、10年もたない・・・
彼女が考え方を変えたら、また違うかもしれませんが、今のままではそう思います。

一方、お父さんの会社は細々とかもしれませんが、長続きするのではないでしょうか。
お父さんはすでに高齢ですが、万一のことがあっても、彼についてきた人が彼のやり方を引き継ぐでしょう。

もし、これが90年代の話だったら、お父さんは娘さんに道を譲るべきという意見に私も同調したでしょう。
でも、失われた20年の間に、娘さんのような執行部が会社をダメにしていったケースを多々みてきた今となっては、逆に思うのです。

お父さんは全く新しい状況になっても、何をしたらいいか自分で判断できる。

でも娘さんは権威あるコンサルタント、ビジネスパーソンなどが唱える、前例や理論に基づいたどおりのことしかできない。
そして現実は、前例のないことの連続です。

 

ビジネス書人気は何をもたらしたのか

戦後生まれの、特にサラリーマン上がりの日本の経営者は、権威ある場所で学んだ者ほど、他の国の経営者でもできることしかできない人が多い。そして、教わった論理、方程式を正しいと信じてるから、結果がでないことに首をかしげながら、破滅まで進むことも珍しくない。

私の記憶だと、昭和の時代、男性が読む本といったら歴史小説が一般的でした。
しかし近年、電車の中で歴史小説を読むおじさんはあまり見かけられなくなりました。
Amazonベストセラーの歴史小説ランキング(4/27日付)を見ると、作者が還暦を過ぎてる本が多いですね。
若い世代の作家さんも、あまり出てきていないのかもしれません。

こちらのリサーチをみると
今、男性の間で歴史小説より人気があるのはビジネス書の類です。
特にドラッガーの著作は若い人向けにライトノベル調の装丁をされ親しみやすい雰囲気で売り出されています。AKB主演で映画化もされましたね。

確かにドラッガーの著作は優れています。私も大好きです。
先進国アメリカの高名な知識人の本として興味を持って手に取った人も多いでしょう

けれど、ドラッガーの本を読んでるのは日本人と欧米人だけではないです。
米英の発信する情報には世界中の知識層が注目する。特に南米、アフリカ、南アジアに多い、欧米のサポートを経て国の発展を目指している元植民地だった地域はそうです。
彼らは死にもの狂いで英語を学び、移民しても困らないだけの語学力を身につけます。ドラッガーの本やピケティの本だって原文で読めます。そして感銘や影響を受ける。

欧米で売れた著作にある知恵というのは、世界中の人たちが共有してる知恵なのです。

 

皆と同じでは浮かぶ瀬がない

今、多くの日本の知識層がビジネスへの姿勢を学ぶ教科書は、欧米の知識人、または彼らに影響を受けた日本人によるビジネス書、自己啓発本です。

でも、それは世界中の人がもっている汎用的な知識や価値観なのです。

自分が知ってる方程式を、皆も知っている。それでは突出した存在になることはできません。いくら、その方程式そのものが優れていても。

皆さんだって近所のスーパー全部が同じ菓子を売ってたとしたら、一番安い店に行って買いたいでしょう。
店同士は体力を削って価格競争をするしかない。一番得をするのは菓子メーカーです。

けれど、もし、どこかの一店が独自の商品を作ったり、仕入れたりすることができれば、客は遠く離れていても必ずその店に行くし、価格競争もしなくていい。店の評判も上がって良いことずくめです。

戦後~昭和までの日本は後者だった。
敗戦前の教育は西洋化を目指す一方で、伝統的な五経、漢学などを通した深い洞察の視点も必修させてましたからね

でも、私自身も含む敗戦後の教育を受けた世代の割合が社会に増えるにつれ、次第に前者になっていってしまった。

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欧米の後追いしかできず、自分達の独自の知恵や流儀を発信できないなら、それは西側諸国を真似るしかできない元植民地と同じなのです。

中国人が日本人が期待したように貧しくならず、相変わらず爆買いに訪れるのも、
ドバイのアラブ人たちが先進国に住むはずの日本人よりずっと豊かな暮らしをしてるのも、
彼らが日本よりさらに上手に欧米先進国を真似たからではなく
彼らが彼らであり続けることを捨てなかったからなのです。

ビジネス書を読む前に、ちょっと歴史小説を読んでみましょう

 

 

 

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