アメリカ上流階級とは何者か?分断の理由 日本人の知らないアメリカ

ハイスクールに行かないアメリカの富裕層たち。上流階級の学校とは?

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わたしたちは英語で高校をハイスクールと訳しますね。
しかし、アメリカ人がみなハイスクールに行くわけではありません。

アメリカには富裕層向けのボーディング・スクール(boarding school)というものがあります。全寮制の私立学校のことです。
イギリスの人気小説ハリー・ポッター・シリーズに出てくるホグワーツ校のようなものと説明されることもあります。
実際、ボーディングスクールはイギリス発祥の文化です。イギリスの植民地だった国を中心に世界各地にみられます。

ディズニーの元経営者だったアイズナー氏、フェイスブックのザッカーバーグ氏も、こうしたボーディングスクールの出身です。

以下boardingschoolreviewをもとに、アメリカのボーディングスクールの特徴をとりあげます。

 

アメリカのエリート学校 ボーディングスクールの特徴

アメリカのボーディングスクールには、以下の特徴があります。

  • 期間は4~5年間
  • 学費が非常に高い
  • 厳格な校風の学校が多い
  • ニューイングランドに多い
  • 日本人の多い西海岸には少ない

期間は4~5年間

日本の学制は6・3・3制です。しかしアメリカでは州によりますが、小学校が5年までしかない5・3・4制が主流です。
小中学校が8年しかない代わりに高校が4年間あるのです。
主なボーディングスクールは、この高校にあたる4~5年の期間の生徒を受け入れます。

 

学費が非常に高い

日本の私立大学の学費は大体、4年間合計で4~500万円ですね。過去と比べて高騰したといわれています。

しかしボーディングスクールの一年分の学費は、およそ54000ドル。日本円換算で600万円前後です。卒業まで4年間として2400万円!寮費も含めてるとはいえ、ものすごい額です。

もちろん卒業後に進学する大学の学費は、また別です\(^o^)/

奨学金制度もありますが、単純に考えてアメリカの富裕層は日本なら都市部に家が買えるぐらいの額を教育に投じてることになります。
きょうだいもいれば、大変な額でしょう。

 

厳格な校風の学校が多い

日本人はアメリカの教育に自由なイメージを抱きがちですね。「ゆとり教育制度」は、子どもの興味・関心に寄り添うアメリカの進歩主義教育をモデルにしていました。

しかしボーディングスクールは逆に、生徒管理の厳しさを売りにしているところが多いです。寮生活ですから、24時間徹底した管理教育になります。甘えられる場所はありません。
ボーディングスクールに子を入学させることは富裕層の親による児童虐待だと批判する声まであるほどです。

アメリカでも保守的な富裕層は自由な教育より厳格な教育を求める傾向のようです。

 

ニューイングランドに多い

アメリカのボーディングスクールは308校ありますが、その半分以上を占める163校が東海岸側にあります。

中でもニューイングランドには94校と集中しています。

日本人でもニューイングランドという地名を聞いたことがある方は多いでしょう。ですがニューイングランドがアメリカの州名でないことを知る人はあまりいないかもしれません。

植民地だった時代のアメリカは今のように広くはありませんでした。領土は現在のアメリカの北東部のみであり、そのうち北部の地域がニューイングランド州とよばれていました。
現在のメイン州、バーモント州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、ロードアイランド州、コネチカット州の6州がそれです。


赤い部分がニューイングランド6州

 

アメリカが現在のようになった今でも、この地域にある6州はまとめてニューイングランドと呼ばれます。
イギリスの植民地時代を引きずった地名でもあります。
植民地の時代から、この地域に住む人々は都会的で高い教育を受けている傾向でした。

このニューイングランドと他の州の境目に位置するのが、大都市ニューヨークです。
ニューヨークという街が、アメリカにおいてどんな意味を持つ都市か考えさせられますね。

 

日本人が多い西海岸には少ない


フィリップス・エクセター・アカデミー

 

ボーディングスクールが日本であまり知られてないのは、日本人が多い西海岸側に少ないという理由もあるでしょう。

西海岸で最も繁栄している州はカリフォルニアですが、それでも28校しかありません。
南部や西部にはボーディングスクールがひとつだけだったり、全くない州もあります。
アメリカのボーディングスクールが全部で309校あることを考えると、いかに東海岸に偏ってるかがよくわかります。

 

90年代、ビバリーヒルズ高校白書というアメリカドラマが人気を集めました。

ドラマの舞台となったカリフォルニアのビバリーヒルズは高級住宅地です。しかし、ドラマに出てくる自由で猥雑なキャラクターたちは、ボーディングスクールに通うような層とはだいぶ違うようです。やはり、庶民向けドラマなのでしょう。

ドラマの中で、ロンドンやニューヨークに行くことが出世として描かれているのは、カリフォルニアの白人がアメリカのヒエラルキーにおいて、どういった層なのかを暗に示しているかもしれません。
(関連記事:「上級国民WASPとは何か?ヒラリーさんとブッシュ氏 ケネディ家の差」)

 

過去記事「なぜアメリカの真似をする国は失敗するのか?理由は2種類の白人たち」において、バブル期後、白人への憧れが強かった日本人が、アメリカの成り上がり~貧困層の人と親しくなり、彼らの考え方を真似るようになった結果、現在のように貧しくなってしまったのではないかという説を書きました。

日本人がバブル期に憧れたアメリカの自由なイメージはビバリーヒルズ高校白書で描かれた自由に近いものです。しかし、もしかしたら、それは豊かさに結びつかない自由だったのかもしれません。
(関連記事:「誤解されがち?実は優秀?1960年代生まれ=バブル世代の特徴7つ

 

ボーディングスクール 3つの種類


アメリカのボーディングスクールはおおまかに以下の3つに分類されます

  • 大学受験を目的とする進学校
  • 職業訓練や個性を重視する学校
  • 宗教的な教育を行う学校

 

大学受験を目的とする進学校

進学校の多くは宗派や人種を問わないリベラルな校風です。
そのため日本人などアジア系が欧米名門大学を狙うときの通過点としても人気があります。

中でも特に代表的な名門進学校10校をテン・スクール(10 School)といいます。一校あたりの生徒数は600-1000人と多めです。
日本ではフィリップス・エクセター・アカデミーチョート・ローズマリー・ホールが比較的よく知られています。

 

職業訓練や個性を重視する学校

軍人の育成を目的とするミリタリーボーディングスクールもあります。多くは男子校です。

芸術関係を目指す生徒のための学校もあります。

ボーディングスクールには男子校、女子校と、生徒の性別を指定している学校も多くみられます。
発達障害や学習障害向けのプログラムを用意している学校もあります。

 

宗教的な教育を行う学校

アメリカのボーディングスクールはもともと、ピューリタンの聖職者の育成学校として始まりました。

そのため、特定の宗派があったり、宗教的な教育を謳うボーディングスクールも多く存在します。全体のおよそ1/3がこうした学校です。
(必ずしもその宗派の信者でないと入れないというわけではありません)

勉強内容は基本的に進学校と同じです。大学進学実績の優れた学校も多く存在します。

宗派ごとの学校の数はカトリックが32校と最も多いです。
それに次いで多いのがプロテスタント聖公会の30校です。

過去記事「アメリカ人がどの社会階層なのか、ざっくり知る方法 富裕層の傾向は?」でとりあげましたように、聖公会はアメリカに古くからある上流階級に多くみられる宗派です。

次記事「上流階級WASPが行く学校 アメリカ聖公会の教育方法」では、この聖公会のボーディングスクールを中心に、アメリカの上流階級の教育についてとりあげます。

 

※外部リンク
アメリカ 名門ボーディングスクール 受験ガイド

お子さんをボーディングスクールに入れた日本人男性によるサイトです。
ボーディングスクールについてとても詳しく知ることができます

 

https://en.wikipedia.org/wiki/Mexican_Texas
https://www.msn.com/en-us/money/savingandinvesting/the-50-most-elite-boarding-schools-in-the-us/ss-AA8lJW6
http://net.keizaikai.co.jp/archives/28014
https://en.wikipedia.org/wiki/American_frontier

 

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