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ポケモンはよくて妖怪ウォッチは難しい?日本アニメが欧米で人気を得るコツとは?

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一年ほど前から妖怪ウォッチが北米市場に進出しているようですね。

(2015年)10月5日より米国アニメ専門チャンネルのDisney XDでアニメ放送がスタートします。
ちなみにジバニャンは海外でも“JIBANYAN”、ウィズパーは“WHISPER”です。主人公のケータは“NATHAN ADAMS(ネイサン・アダムス)となります。
電撃オンライン

これ、主人公ケータのアメリカ版の名前がネイサンってちょっと愕然なんですが・・・
ユダヤ系の名前ってちゃんとわかった上でつけたのかな??

もちろん、アメリカの視聴者がどんな印象をもったか、蓋を開けてみないとわからないですけど・・・

よく妖怪ウォッチのライバルとして挙げられるポケモンですが
こちらの主要キャラクターは植物や自然に由来した名前、または新約聖書に由来した名前に変更されていることがほとんどです。
主人公サトシのアメリカ版の名前Ashも樹木に由来した名前です。

ポケモンのアメリカ進出がいかに成功したかは、今年、アメリカ発でポケモンGoというゲームが世に出たことでもよくわかります。

妖怪ウォッチの発売元、レベルファイブは、ここ2年ほど、ウサピョン、メリケン妖怪といったアメリカ出身設定のキャラクターを出し続け、北米を意識した展開を続けています。

確かに利益を考えれば、海賊版の多いアジアより欧米市場を狙いたいのはわかります。

けれど、個人的には妖怪ウォッチはアジア以外では難しいのではないかな?とずっと思っていました。

貿易に携わる一人として、ちょっとそう考える理由を書いてみます。

 

動物と人間の会話はNG

妖怪ウォッチではジバニャンはじめ、人間の言葉を喋らない妖怪は皆無です。
ジバニャンたちは友達のように主人公ケータに関わってきます。

動物の姿をしたものが人間と会話する・・・これが実はキリスト教的にNGなのです。

キリスト教徒のなかには喋る動物の存在を神への侮辱ととらえる人たちがいます。

動物がクリストファー・ロビンと対等に会話する「くまのプーさん」のような設定はNGと考える人が、キリスト教徒には意外に多いのです。かつてディズニーアニメになっているにも関わらず、プーさんは世界のあちこちで禁書になっています。

プーさん以外のディズニーアニメでも動物が喋っているじゃないかと思う方もいるかもしれません。しかし、そうした作品では殆どが動物と動物同士で会話しているのです。
人間が参加できない、動物やモンスターたちの架空の世界の会話ということになっているのです。

もちろんアメリカ人が皆、宗教に熱心なわけではありません。しかし、世論を主導するのはやはりキリスト教徒です。

 

ポケモンアニメの世界観は現実の人間と動物の関係に近い

ポケモンの場合、人間と会話できるポケモンはほとんどが伝説ポケモンです。人間が安易にゲットできない特別な存在です。出番も映画中心です。

動物に近い普通のポケモンは、たとえ主人公サトシの相棒ピカチュウであっても人間とは会話できません。映画と違って海外放送の多いTVシリーズ内で、ポケモンと人間が会話することは、まずありません。

ロケット団のニャースのみはしゃべりますが、厳しい訓練の末という設定になっています。チンパンジー等は訓練すれば人間と会話できますから、現実における人間と動物の関係と比べてもアリなわけです。

でも、妖怪ウォッチの場合、ジバニャンたちがケータと会話できなくなったら、ストーリーが一歩も進められなくなってしまいます。・・・この時点で、妖怪ウォッチは非常に厳しいでしょう。

 

またポケモンたちは野生ならば野生動物のように自由にとびまわり、ゲットされれば人間に餌を与えられ可愛がられ、人間を背中に乗せて働いたり・・・人間との関係は、実際の人間と動物の関係とほとんど変わりません。

欧米は動物愛護に関心が高いですから、そこもポケモンが受け入れられやすい理由のひとつかもしれません。

そのせいか任天堂も、ゲーム上でポケモンをたおすとき日本版なら「○○は、たおれた」というメッセージが表示されるところを「〇〇 fainted」(気絶した)と表し、欧米プレイヤーにもたらす心象に気をつかっています。

 

キリスト教文化圏では東洋文化圏より、人間とそれ以外のとの線引きをはっきりさせないと受け入れられにくい気がします。

90年代、アジアで人気の青い猫型ロボットが欧米進出して失敗した理由は、相棒の眼鏡の少年の依存心が強くなまけものな性格が、欧米人の好みと合わなかったからだと報じられてきました。でも、この点を考えると、それだけではなかったかもしれません。

 

死者のよみがえりはNG

ジバニャンは最初から妖怪だったわけではありません。もともとはある少女の飼い猫でした。少女を庇って車にひかれて死んだ猫が地縛霊になった結果→ジバニャン。この設定は名前の由来でもあるようです。

けれどジバニャンはポルターガイストのような霊的な存在ではありません。お菓子を食べたり、アイドルを応援したりもする。姿も生きていた猫の頃とほとんど変わりません。死んだものが正体不明な力とともに生き返ったような存在なのです。

ジバニャンだけでなく、妖怪ウォッチの人気の要である猫型妖怪は、どれも本物の猫として生きていた過去を持っています。

死んだものがよみがえるという設定がキリスト教圏で受け入れられにくいことは、日本人でも容易に想像つくかと思います。
それが許されるのはゾンビか、キリストぐらいです。

ドラゴンボールやナルトのように
服装も人名も東洋風にこだわり、もう少し高年齢層を狙った作品だったなら、死者のよみがえりも異文化ファンタジーとして受け入れられやすいかもしれません。

けれど妖怪ウォッチは見たところ、日本国内同様に子供層を狙うつもりでいます。
家庭を持ち子育てしている親は、どこの国でも総じて若者より保守的です。

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ポケモンがアメリカ市場を開拓してから20年になるそうですが、そのローカライズぶりを知ると、アメリカ文化への理解の深さ、対応のきめ細かさに驚きます。模範的という言葉が浮かぶほどです。
人気が長続きするのは、長続きするだけの理由があるということなのでしょう。

他の文化圏に商品を売り込むには、自分たちの商品の良さをアピールするだけでなく、相手の文化への敬意と、学ぶ姿勢も必要とされるかもしれません。

 

http://www.sheknows.com/baby-names/name/nathan
https://www.buzzfeed.com/spenceralthouse/classic-childrens-books-that-have-been-banned-in-america?utm_term=.ytzojRWYx#.wlxjb5QP1

 

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