日本人の信仰

私が八百万の神を信じない理由

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私は八百万の神への信仰が本当に日本に古来よりあったのものなのかどうかは知りません。
ただ、自分の経験ではっきりわかるのは
この八百万の神という概念が日本社会に長い間馴染んでいたものではなく
近年、マスコミやネットを通して急に取りざたされるようになったものであることです。
だから、これが日本人が信仰するべき伝統的な宗教だという主張は

 
うさんくさい
 
と思うのです。
 

私は1970年代序盤の生まれですが
1980年代後半、ちょうどバブルの頃から宗教に興味をもって、いろいろな書籍を読んできました。当時の主な関心はキリスト教にありましたが、自国については「日本は仏教国」と漠然とですが、自信たっぷりに思っていました。

なぜなら、私の知る周りの大人たちは皆、そう言ってきたからです。
 

私は宗教色のない公立高校の出身です。それでも英語教師は、もし宗教を尋ねられたら
日本人なら「I'm a buddist」または「I have no religion」と答えるのが
一般的だろうと教えていました。

 

社会の教師は、当時行われた日本人が自分の宗教を何と思うかという調査結果について「一番多いのは仏教、二番は無宗教」と語っていました。
その下の順位にキリスト教が出たのは覚えていますが、神道があったかは覚えていません。

 

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それでも、当時から多くの人が初詣をし、子の七五三を祝い、家を新築するときは神主さんに祈祷をしてもらっていました。
神道の信仰がなかったというより、神仏習合が当然といった風潮でした。
現在も初詣は神社に行く人もいればお寺に行く人もいますが
昭和の頃から、それに何の疑問もなかったんです。

 

庶民の意識は、「神社」と「お寺」は違うんだよ、と口にする人がいれば、ものをよく知ってる人とみなされるレベルでした。
団塊世代生まれの私の母さえ、ふたつの違いがよくわからないようでした。

 

このように80年代の私は八百万の神々や神道について知る機会はほとんどありませんでしたが
アマテラスの存在は漫画などのコンテンツを通して知っていました。

自分が知ってる一番古いアマテラス登場コンテンツは
西谷 祥子さんの少女漫画「日の輪、月の輪」(1981年、コミックス1巻発売)です。

これに登場するアマテラスは元は普通の人間の少女です。彼女が、頭部がライオンのメス、体は人間という半神半獣のエジプトの神と会話したり冒険したりして、最後にアマテラスという太陽の女神になるというストーリーでした。今、世間一般に知られている日本の神話とは全然違います。

 

当時はギリシャ神話をテーマにした少女漫画もよくあったんです。「オリンポスのポロン」とかね。だから、そうした作品の仲間のようにとらえてました。

 

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アマテラスに対してそんな認識だったので、昭和天皇のような天皇家の人たちのことも、国民に見せないだけで、葬儀はふつうに仏式で弔われていると思っていました。

だって1980年代に人気があった、漫画化した源氏物語「あさきゆめみし」に、皇族が出家して仏門に入る話題が頻繁にありましたから。日本史の授業だって、後鳥羽上皇につく「上皇」とは出家した天皇の称号だと教えてましたし。

 

近年、神道というものが広く世間に知られるようになってきたのは
「新しい教科書をつくる会」の活動がニュースに報じられるようになったのを手始めに、
90年代に始まった京極夏彦ブームや巫女ブーム、
森元首相の「神の国」発言、
そして在任時、大人気だった小泉元首相の靖国参拝が大きいでしょう。

・・・「日本の伝統宗教といえば神道」という概念は、本当に、ここ20年ぐらいの間に急に広まったものなのです。

 

だから、今テレビに出てきては「やおろずの神への信仰こそ日本人の伝統的な宗教」とか訳知り顔で発言する初老の宗教学者や知識層を名のる人たちを目にすると
この年齢の人なら、本当は違うって知ってるくせに
気持ち悪い、不気味、誰の指図なの?・・・とすら思ってしまうのです

 
 

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