私たちは卵や鶏肉を日々、当たり前のように享受しています。けれど、その裏でオスのヒヨコが一年に何億羽も殺され続けています。選別した後、ガスを使ったり圧死させたりしているのです。
残酷ですが、餌代を考えると鶏肉として出荷する大きさまで育てることもできないため、長年、世界中で必要悪として続いていることでした。
しかし卵生産者組合(United Egg Producers)団体は、2020年までにオスのヒヨコの処分をやめることができると発表しました。ほぼ全世界の卵生産者を代表してということです。
さて、どのようにしてそのようなことが可能になったのでしょう?
鳥類はメスの染色体よりオスの染色体のほうが少しだけ大きいのです。そこで1センチ弱の穴をレーザーで卵にあけ、卵内の血管網に赤外線を照射します。そこで、どのぐらい光が分散したかによって染色体の大きさを計算できるのです。この照射と分析には卵一個につき、15~20秒かかるとされています。
これはドイツのやり方ですが、またオランダでも別のやり方で選別方法が開発されているようです。
どちらの方法も、まだ新しい技術です。放し飼いの鶏の卵では結果を出していますが、養鶏場で大量の卵を処理するのは、まだスタート段階です。
こうして選別されたオスのヒヨコの卵は、すでに受精しているのため食用として使われることはないようです。しかしインフルエンザワクチンの製造時に使われるなど、用途はさまざまあるようです。
受精した卵が命かどうかについては議論があるところでしょうが、卵から孵ってまもないヒヨコが無残にも殺されてしまう現状には辛いものがあります。業者の方にとっても夢見が悪い仕事だったでしょう。卵への感謝と亡くなったヒヨコたちに手をあわせつつ、一日も早い技術の普及を望みます
http://www.wired.com/2016/06/egg-farms-will-stop-killing-millions-male-chicks/
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