アメリカ上流階級とは何者か?分断の理由 日本人の知らないアメリカ

トランプ ファミリーと共産圏を結ぶ3つの縁 アメリカの敵は誰か?

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ユダヤ系クシュナー家はソ連からの移民

イヴァンカさんの夫、ジャレッド・クシュナー氏がユダヤ系であることはよく知られていますね。

アメリカのユダヤ系も一枚板ではなく、いろいろな考え方のグループがあります。このクシュナー家は戒律に厳しいタイプのユダヤ系です。
クシュナー氏の弟と結婚したモデルも、義姉イヴァンカさん同様、ユダヤ教に改宗しています。
(関連記事:「日本のマスコミが伝えないトランプ氏の子供達の経歴」)

 

クシュナー家は、もともとはソ連時代のベラルーシからの移民です。
祖母は、その地にあったナチスの施設からトンネルをほって逃げてきた人々の一人でした。
第二次世界大戦後、ナチスの迫害を生きのびたユダヤ系の結束はとても強くなっていました。クシュナー氏の祖父母はそうした生き残りのユダヤ系として、戦後まもない1949年、ニューヨークのブルックリンに移住したのでした。

なんだか前記事「「児童買春の島」大富豪エプスタインの生い立ち ユダヤ系アメリカ人の現実」でとりあげたエプスタインの両親のような経歴ですね。

アメリカで成功したあとも、クシュナー家はたまにベラルーシを訪れ、ユダヤ系のレジスタンスを記念する博物館に寄付を行ったりしていたそうです。祖母の実家は、もともと地元の有力者の家系でした。

ベラルーシは、ソ連崩壊後の現在も、共産主義的な独裁体制を続けている国です。在任中のルカシェンコ大統領はソ連時代、共産党員でした。

 

プーチン氏もユダヤ系?

トランプ氏の大統領当選に、プーチン氏の影があるという疑惑は消えていませんね。
実はプーチン氏には、ユダヤ系の血が入っているという噂があります。
プーチン氏の母親の旧姓はシェロモーワといいますが、これがロシアのユダヤ系によくみられる姓だというのです。
彼の若い頃のパスポートの記録を根拠に母方がユダヤ系だったとする海外記事もあります

 

ファーストレディ メラニアさんの父は元共産党員


メラニアさんは1970年生まれ。東欧スロベニアの出身であることはよく知られていますね。
スロベニアは冷戦中、スロベニア社会主義共和国として共産主義体制にありました。

共産圏というと、貧しいイメージを持つ人が多いですね。
しかしメラニアさんは貧しい生活とは無縁でした。父親が共産党の正式メンバーだったため、恵まれた生活をしていたのです。

スロベニアで共産党員は人口の5%しかいませんでした。
メラニアさんの父は車のディーラーの仕事をしていましたが、党員の特権で、一般の人が手に入れられない品を手にすることができました。

共産主義の家庭でそだったメラニアさん。無神論者だった父の方針で、キリスト教の洗礼を受けていないそうです。

メラニアさんが成人した頃、ソ連が崩壊し、冷戦が終結します。そして彼女はモデルとして国外に飛び立ち、トランプ氏と出会ったのでした。

メラニアさんの両親は、すでにアメリカ市民になっています。しかし彼らは現在もスロベニアに家を保有し続けており、年に2,3回は戻っているそうです。

アメリカに移住した後もメラニアさん親娘は仲がよく、定期的に共に過ごしています。家族はホワイトハウスにもよく出入りしていると報じられています。

 

スパイ疑惑のあるチェコ出身の元妻 イヴァナさん


イヴァンカさんの母でトランプ氏の元妻であるイヴァナさん。彼女はチェコスロバキアからの移民です。
選挙期間中からトランプ氏を支えてきた成人している三人の子供たちは、すべてイヴァナさんとの間にできた子です。
(関連記事:「日本のマスコミが伝えないトランプ氏の子供達の経歴」)

 

元妻イヴァナさんが育った時代のチェコは「チェコスロバキア社会主義共和国」といいました。

イヴァナさんは彼女の才能を見出した父にスキーを教えられ、スキーの大会出場を理由に国外に出るようになります。そして彼女はオーストラリアのスキーインストラクターだったアルフレッド・ウィンクルマイヤーという人物と結婚します。

国際結婚により、イヴァナさんはその後も母国を自由に行き来できる形で共産圏から脱出しました。

ウィンクルマイヤーの姓を得たイヴァナさんは、オーストラリア国籍のパスポートを得た翌年、相手が不在の状態で離婚します。もしかしたら偽装結婚だったのかもしれません。

やがてイヴァナさんはカナダに移住し、モデルとして成功し、ニューヨークに渡ります。そしてトランプ氏と出会い、結婚します。

 

・・・イヴァナさんの経歴、日本人からみると、貧しく自由のない共産圏がいやで、北米を目指したのだろうと思ってしまいますよね。
しかし、話はそれほど単純ではありません。

英紙ガーディアンは、イヴァナさんの父をチェコスロバキア秘密警察(StB)のスパイだったと報じています。そしてアメリカに住む娘のイヴァナさんから1980年代の大統領選などの情報を得ていたとしています。

チェコ共産主義時代の秘密警察StB・・・知らなかったのですが、ITmediaによると浦沢直樹氏の漫画「MONSTER」にも登場する組織だそうです。

ソ連崩壊が見えてきた1990年、イヴァナさんの父はチェコでなくなります。このときトランプ氏は、わざわざアメリカから葬儀に駆けつけました。

英紙ガーディアンによると、葬儀にはStBの他のスパイたちも参加していたそうです。

 

不思議なことに、トランプ氏とイヴァナさんは父の葬儀のちょうど一年後に離婚します。
理由はトランプ氏の暴力とされていますが、離婚後にイヴァナさんは、彼から暴力を受けたことはないと発言しているそうです。謎めいた離婚ですね。

 

トランプ家はなぜ娘の名をイヴァンカとつけたのか?


トランプ氏の元妻の「イヴァナ」さんと、娘の「イヴァンカ」さん。
この2つの名がロシアはじめ元共産圏によくある名前「イヴァン(Ivan)」の女性型であることは、簡単に理解できますね。

英語圏でイヴァンという名前はあまり聞きません。
なぜだと思いますか?

実は「イヴァン」という名は、英語圏では「ジョン」にあたるのです。
両方とも聖書の登場人物「ヨハネ」の名前が由来になっています。ヨハネが英語圏ではジョンになり、ロシアやチェコなどスラブ語圏ではイヴァンに変化したのです。方言のようなものですね。

 

イヴァンカさんは1981年に生まれました。まだ米ソ冷戦の終わりが見えなかった時代です。

冷戦下のアメリカで、イヴァンカとして暮らすのは、ちょっと苦労するはずだったでしょう。
それでも彼女は英語流のジェーンやジョアンナでなく、敢えてイヴァンカと名付けられました。

しかもイヴァンカさんのように末尾が「カ」で終わる名前は、母イヴァナさんの名前より更に共産圏的なのです。チェブラーシカやオルガといったロシアの名前を知っている方も多いでしょう。人名含め「カ」で終わる名詞が多いのがスラブ語圏の特徴です。冷戦時、白人中心の共産主義国というとスラブ語圏ばかりでした。

イヴァンカという名前を決めた家族と、それに反対しなかった他の家族・・・
当時の共産圏へのなみなみならぬ思いが感じられます。

 

トランプ ファミリーは英語なしで意思疎通できる?

イヴァンカさんの兄のトランプJr氏は、生前の祖父から直接チェコ語を学んだそうです。そのため、とても流暢にチェコ語が話せるといいます。
・・・チェコの祖父が生きていたのは冷戦中でした。この時代、長期間チェコで暮らした経験があるということでしょう。

イヴァンカさんもまた、母からチェコ語を学んだそうです。
トランプ氏自身も、元妻からチェコ語を学んでいたかもしれません。

また現妻メラニアさんの息子、バロンくんは、トランプタワーの近くに住む祖父母とスロベニア語で会話しているそうです。

そして元々ソ連からの移民だったクシュナー家は、ロシア語を使える可能性も高いですね。

言語について⑥知られざるスラヴ諸語のはなし」という外部ブログ記事によると、面白いことにスラブ語圏というのは一つの言語を覚えれば、他の言語も半分以上は理解できるようになるそうです。
たとえばロシア語をマスターすれば、チェコ語やスロベニア語もわかるようになるし、その逆でもあるのです。

 

トランプ氏は日本人が思うより複雑な人物

 

日本では小泉純一郎氏や石原慎太郎氏のような、強気で華のある政治家が人気を集める傾向です。
そのせいかトランプ氏も、選挙中のバッシングはどこへやら、主に右派の日本人から人気を集めてますね。

しかし彼ほど元共産圏の関係者に囲まれてるアメリカ人も、あまりいないでしょう。
トランプ氏の5人の子供のうち、共産圏と縁がないのは2番目の妻が産んだティファニーさんだけです。この母娘は他のトランプファミリーと距離をおいています。
(関連記事:「トランプ氏はバツ2、サンダース氏には隠し子?大統領候補の下世話な話」)

 

・・・トランプ氏はスコットランド出身の母の影響下、プロテスタント長老派の家庭に生まれました。しかし少年時代からキリスト教への関心が低く、教会に出向くのは冠婚葬祭のイベント時ぐらいだったそうです。
現在なら珍しい話ではありませんが、今よりキリスト教の影響が強かった当時のアメリカでは、どちらかというと社会に懐疑的な若者だったといえるでしょう。

その後のイヴァナさんとの出会い、そして彼女の背景にある当時のチェコスロバキアが、若かったトランプ氏に、何らかの変化をもたらした可能性はあるかもしれません・・・。

 

1991年にソ連は崩壊し、共産圏は次々と民主化しました。東西冷戦は英米の勝利に終わったはずでした。

しかし現アメリカ大統領のトランプ氏は、その破れたはずの共産圏の亡霊を背負っているような人物です。イギリスが彼に対して警戒的なのも納得です。

トランプ氏は表に見えているより、はるかにミステリアスな人物といえるでしょう。

 

2018年ごろから、QAnon(Qアノン)というトランプ支持者が提唱する陰謀論が注目を集めています。
民主党の政治家やブッシュ氏、故マケイン氏などといった共和党保守派で成り立つ秘密組織ディープ・ステートというものがある、彼ら内なるアメリカの敵が企てるクーデターからアメリカを守るのがトランプ氏という説ですね。
こんな陰謀論が出てきた大統領は、今まででトランプ氏ぐらいじゃないかと思います。
CNNによると、QAnonの主要後援者ライオネルとして活動するミカエル・レブロン氏は、ロシア・トゥデイに政治法律アナリストとして登場する人物だそうです。
(関連記事:「ディープ・ステートはあるのか?アメリカ国民も認めるカースト制度

 

現在、トランプ氏の対中貿易制裁に始まる米中貿易戦争が、世界経済を混乱させていますね。
中国だけでなく、アメリカにも大きなダメージになるため、アメリカ国内でも反対する企業が多いといわれています。
この2国が弱まることで、どこが得をするのか・・・トランプ氏の背景を知ると、ちょっと考えさせられてしまいます。

↑大統領当選前の2016年春に元共産圏リトアニアの街中に描かれた壁画

※2020.10.4追記
外部リンク「ジリ貧だったトランプが巨万の富を築けた理由」東洋経済

トランプ氏が富を得る過程においての、旧ソ連およびロシアとのつながりに少し触れている記事です。
またトランプ氏はソ連崩壊後の元共産圏の富裕層(メラニア夫人の父親のような人たち)にアメリカの不動産を売ることでも、利益を得ていました。
上リンクの記事含め、日本ではトランプ氏が「富を得るために『旧共産圏』を利用した」と考えたがる識者が多いです。
しかし私はむしろ「旧共産圏」こそ、彼がお金を稼ぐモチベーションの源だったと考えます。
トランプ氏のような、もともと裕福に育った人ほど、「お金のため」には頑張れないものです。
トランプ氏が幼い長男を託したほど信頼した共産主義時代のチェコスロバキア、そしてアングロサクソン覇権および英王室と強い対決姿勢にあるプーチン氏が、
彼の人生にとって、どういうものなのか、2020年の大統領選の後に見えてくるかもしれません。

 

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https://www.townandcountrymag.com/society/politics/g9968592/melania-trump-parents-amalija-knavs-viktor-knavs

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https://en.wikipedia.org/wiki/Ivana_Trump(英ガーディアンの引用含む)
https://www.thesun.co.uk/news/5085318/donald-trump-religion-president-jewish/
https://www.nickiswift.com/32376/things-didnt-know-barron-trump/

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