"黒人というものは、ばかで、なまけもので、ときには、じりじりするほど腹が立つことがある"
"黒人は子どもみたいなものなのだということを知り、子どもに対するのと同じように、気をつけてやらなければなりません"
「風とともに去りぬ」マーガレット・ミッチェル 大久保康雄・竹内道之助訳
アメリカの学費はとっても高くて有名です
貧しい家庭のためのファイナンシャルエイド、同じ州に住む学生のため、 優秀な学生のためなどの学費サポートは多々あるようですし
アジア系で移住してる家庭は、それこそ母親がタイガーマザーやりながら必死で子供を高学歴にしようと奮闘してるケースが多いそうですが
その頑張りをあざ笑うような、さらに上を行く学費の高騰
ドイツはじめ欧州の大学の学費はおおむね安いです。
ハンガリーなどは医学部さえ格安だと話題になってますね。
イギリスは自国民とEUからの学生の学費は同じ金額ですが
それ以外の地域からの留学生の学費のみ、お高くなるそうです。
どうしてアメリカだけ?
1980年代ごろ、日本では知識人たちの一部がこう語っていました。
アメリカが学歴社会であり、かつ学費が高いのは人種差別を終わらせないためだと。
低所得の者が多い黒人は学費が払えないからだと。
そして、歴史を振り返ると、それはあながち的外れとも言えないようです。
アメリカの学費の高騰は、ほぼ1970年代から始まっています
Let’s talk a little bit about college tuition inflationより
この値上がりの時期に先だって、アメリカでは社会を激震させる大きな変化がありました。キング牧師とケネディ大統領による公民権運動、そしてジョンソン大統領による1964年の公民権法の成立です。
それまで、黒人は白人と同じバスに乗れず、トイレも別々で、職業にもあからさまな差別がありました。
それを改革する公民権運動そして公民権法は、ヨーロッパの知識層や、日本のような有色人の国から、好意的にとらえられました。
しかし黒人を使役して富を得てきた人々の子孫であるアメリカの既得権益層には、それが面白くない人たちも多くいました。ネイティブアメリカンが住む未開の土地だったのを、切り開いて先進国にしたのは彼らの先祖なのです。黒人には、その苦労の成果を受け取る権利はない。彼らは召使として連れてこられ先進国の文化を享受してるにすぎない――
実際、公民権運動に対する妨害は多かったのです。キング牧師もケネディも暗殺されました。
おそらく、この公民権法への対抗処置が、アメリカ独特の学費の高騰と学歴社会の始まりだったのでしょう。
全般に黒人の家庭は貧しく、学歴が得られないその子もまた貧しくなる。
人種差別はしないという体面を保ちつつ、階層を固定化できる。
こうした暗黙の差別政策は、黒人に限らず新参者の移民に対しても、行われてると言えるかもしれません
けれども、当時さえ、そう邪推する意見があったのですから、差別に敏感な黒人たちが黙っているわけがありません。
現在、アメリカのアイビーリーグの大学入試試験SATでは、大学内の人種を均等にするという名目で、黒人には特別に点数を加算する制度があります(アファーマティブ・アクション)。
wikiによると、白人が加算ゼロのとき、黒人+230点、ヒスパニックには+185点。ちなみに中国、インドといった人口の多い国からの留学生が多いアジア系はマイナス50点だそうです。 確率にするとアジア系より白人は三倍、ラテン系は6倍、黒人は15倍の倍率で入学が認められます。
でも、こういうことを大っぴらにすると、逆に真に実力があって一流大学に入った黒人も"どうせ黒人だから、低い点数で入ったのだろう"と思われてしまうのではないでしょうか。実際、人種に関わらず採用してくれる企業でも、ある程度の役職以上になると白人ばかりになることは日本でも通説になってますね。
アメリカの権力者は本当に差別をなくす気があったのでしょうか?口ではなくすと理想を唱えながら、その手は巧妙に違うものを形作ってきたように思えます。
ならば、かくも狡知があり賢い国の人たちからみて、日本人はどう見えているのでしょうか?私たちは、あまりに単純すぎる民かもしれません。