アメリカでは子供を学校に行かせず、代わりに親が家庭で教育を施すホームスクーリング(Homeschooling)を選択する家庭が増え続けています。
1980年代では全米で2万人程度だったそうした子供の数が、2011年の調査では234万人を超えているというのですから、確かに大変な増加です。
学校に通わず家庭で教育を受けるとなると、貴族や大富豪の子息をイメージしてしまいがちですよね。でも、これだけの増加の背景にあるのは普通の家庭です。
北カリフォルニアでは、なんとホームスクーリングで学ぶ子供の数は私立学校に通ってる生徒の数よりも多いそうです。
意外に古い欧米の"不登校"の歴史
家庭で教育を受けた欧米人というと、学校になじめず母親が教育したエジソンが日本では有名ですが、他にも以下の有名人がよく知られているようです。
・ウィリアム・ブレーク
・チャールズ・ディケンズ
・アガサ・クリスティ
・ベンジャミン・フランクリン
・ウッドロー・ウィルソン
・フローレンス・ナイチンゲール
・チャールズ・チャップリン
・ライト兄弟
・アンドリュー・カーネギー
最近だと、日本でも教育テレビで放送されていたアメリカの若者向けドラマ「アイ・カーリー」の主人公を演じていたミランダ・コスグローヴさんがいます。wikiによると彼女は12歳からのホームスクールの後、南カリフォルニア大学に進学したそうです。
日本では学校に行かせなくては何も身につかないと漠然と思い込んでる人がほとんどです。不登校という言葉には恐怖にも似たネガティブイメージがつきまといます。
ホームスクールの増えてきたアメリカでさえ
自分の子供を学校に行かせずに家庭で学習させている親に対しては、「えっ!?」という反応が出ることも多いようです。
教育熱心だからこその不登校
それでも、あえてホームスクールを選ぶ家庭が、学校を選ばない理由として多く挙げるのは以下のようなことです。
・微妙な問題(婚前交渉や同性愛など)に対する学校の教育方針への不信感
・ドラッグなどの誘惑への危惧
・宗教と切り離されがちな学校の教育内容
どちらかというと保守的な層がホームスクールに走ってるのかもしれませんね。
子供が学校に行きたがらない結果、仕方なく発生する日本の不登校と違って、こちらの不登校は親が自分達の好みの計画的な教育を受けさせるつもりで通わせないのです。もちろん教育にとても熱心な傾向の両親が多いです。
どういったプログラムで教育をしているか、ホームスクーリングを選んだ親同士での情報公開、意見交換も盛んです。
おかげで普通の学校に通ってる生徒たちよりも学力検査での得点が良いといった統計も出ているようです。
私たち日本人は、音楽、スポーツなど広い分野の習い事をさせたり、高名な学校や教育施設に入れたり、優秀な先生をつけてあげることこそ、良い教育だと考えてしまいがちです
けれどアメリカは、教育と教育環境は別のものだと考えてる人、そして強い信念をもって子供を育ててる人が日本よりずっと多いです。そして知識の習得以上に、価値観の継承ということに重きが置かれているようです。
http://www.educationnews.org/parenting/number-of-homeschoolers-growing-nationwide/
http://www.ascd.org/publications/educational-leadership/sept94/vol52/num01/Why-Parents-Choose-Home-Schooling.aspx
http://www2.ed.gov/parents/schools/choice/definitions.html
http://dailysignal.com/2014/09/08/one-state-children-homeschool-attend-private-schools-shouldnt-shock/
http://www.thenewamerican.com/culture/education/item/15698-homeschooling-continues-to-grow-in-popularity-nationwide
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