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誤解されがち?実は優秀?1960年代生まれ=バブル世代の特徴7つ

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5セカンズというサイトが、バブル世代の特徴を以下のようにまとめています。

・パワフルである
・コミュニケーション能力が高い
・金銭感覚はズレてるがお金持ちが多い
・「男は男らしく、女は女らしく」のイメージを持つ
・物を選ぶときは高いものを選ぶ

なるほど・・・「下の世代からみると、こんなふうなのかな?」と思うようなことが書いてあります

そして最後

・バブル世代は無能だといわれやすい

・・・んんん?!

若い方はバブル世代を「運がよい時代に生まれただけの、能天気なパワフル系」程度に思う傾向があるかもしれません。
氷河期や不景気を乗り越えてる自分たちのほうが、ずっと苦労していると。

しかし、それは、もしかしたら誤解かもしれません。

私はバブル世代より少し下の第二次ベビーブーム世代です。
今回、年齢の近い私から見たバブル世代について書いてみます。

 

バブル世代とはなにか?

wikiをみるとバブル世代とは1987年~1991年の期間に就職が内定した世代と定義されています。

・・・しかし、どうでしょう?

バブルは1991年に崩壊します。この定義だと91年に内定した人は、バブル崩壊後に社会人になったことになります。初めての給料を手にしてすぐに、リストラだの、経費削減だのといった言葉を覚えさせられる羽目になるわけです。

それは世間一般が抱く「バブル世代」のイメージとは少し違うでしょう。

世間が抱くバブル世代のイメージにあてはまる人とは、バブル期である1986年-1991年の期間に、以下の条件をみたす人だと思います

  • 自分で稼いだお金を自由に使えた
  • その状態が三年以上続き、バブル期の生活水準に慣れていた
  • 活力にあふれ経験の少ない20代だった

この条件に当てはまる人が多いのが、1960年代生まれです。しかも後半より前半生まれのほうが、より「バブル世代らしい」人たちといえるでしょう。
本サイトでは全記事で1960年代生まれを「バブル世代」として扱っていきます。

 

1960年代生まれ=バブル世代の特徴とは?潮の流れを変えた人たち

特徴1:貧しかった日本の記憶を持つ

1970年代までの日本は、日本人の目から見ても先進国と呼ぶのは疑問な状態でした。
(関連記事:「知ってほしいバブル期前の日本 1970年代の日本」)

突然の停電は驚くことではありませんでした。

水洗トイレもまだ一部の家庭でした。汲み取り式の家が多く、回収するバキュームカーが通るたび、街中に悪臭がただよいました。

野良犬もたくさんいました。狂犬病はまだ縁のない話ではありませんでした。

爆発事故もとても多かったです。
(関連記事:「バブルは日本をどう変えた?日本人の死生観」 ‎)

私の母はスーパーで会計を済ませた品から絶対に目を離さないよう注意しました。誰かが盗んでしまうかもしれないというのです。
実際、私が電車の切符の自動販売機を使ったとき、出てきたおつりを通りすがりの人がさっと掴み去っていってしまったことがありました。泥棒ですね。

市販の玩具はなかなか買ってもらえないので、女児はあやとりや手芸、男児でも紙などで作った手製のメンコで遊んでいました。

・・・若い方なら発展途上国の話だと思ってしまうかもしれません。しかし、当時は当たり前だったのです。

1970年代後半からしか知らない、第二次ベビーブーム世代の私にとってさえ、こんな記憶なのです。1960年代に生まれた人たちの記憶にある日本は、更に貧しいものでしょう。

いくらテレビに魅力的な商品が映っても、お金がなくて、買えなかった・・・夢と欲望だけが空回りした・・・。
ドラえもんの原作で裕福なスネ夫が他の子におもちゃを自慢できたのも、彼らが60年代生まれの設定だったゆえでしょう。

バブル世代の浪費好きや、金持ちぶりたがる癖は、この時代の記憶の反動ではないかと思うことがあります。
「大人買い」という言葉を生んだのも、この世代です。
(関連記事:「知ってほしい貧しかった日本」)

 

80年代以降生まれの方は「バブル世代は美味しい思いをした逃げ切り世代」だと思う傾向かもしれません。

しかし、今以上に日本が貧しく荒廃したとき、強い耐性をみせるのは20代30代よりも、バブル世代のほうだと思います。

今の日本は貧しくなっても、かろうじて先進国です。しかし、それよりもっとひどかった時代・・・財布を拾ったら交番に届けずパクってしまう日本人が少なくなかった時代を、この世代は知っているのです。

 

特徴2:厳格な大人たちに育てられた世代

バブル世代の親は、団塊よりもっと前に生まれた人が多いです。戦前-戦中生まれですね。

そのせいか「親が厳格だった」と口にする人をよく見かけます。

1980年代までは、門限を守れない娘を殴る父親の話は珍しくありませんでした。子供の姿勢や行儀作法にも厳しい家庭が多かったです。テレビをつけたまま食事をすることすら不作法といわれた時代でした。

そのせいか、バブル世代は年齢を重ねても、上品な佇まいを失わず、言葉遣いも私たち下世代と比べて丁寧な人が多いと感じます。本能や感情にまかせて粗野な振る舞いをすることがあまりありません。

「男は男らしく、女は女らしく」という価値観がバブル世代の特徴といわれるのも、親世代の厳格さを引きずっているためと思われます。

その一方で、子供の行動を束縛する親への反発が強かった世代でもあります。彼らが10代の頃はプライバシーという言葉が流行語でした。
1962年生まれの松田聖子さんも、公務員の父親に芸能人になることを猛反対され、それに反発して上京し、事務所社長の世話になりながら歌手を目指したという経歴の人です。

バブル世代に「自分の子供には自由にさせてやる」という人が多いのは、厳格な親に育てられた反動でしょうか・・・

また小中学校もこの世代が通っていた頃は、教師が整列させた生徒たちの姿勢をチェックして背筋がのびてないと注意したり、ルールを破った生徒を廊下に正座させて罰するような、ある意味「軍隊的」な性格が強かったです。竹刀を持ち歩く男性教師もいました。

・・・自由のすばらしさ、抑圧からの解放を「躾のよく行き届いた態度」で訴える・・・そんなアンビバレンツが60年代生まれの特色かもしれません。

 

特徴3:下世代より手先が器用な人が多い

60年代生まれが子どもの頃、家庭用コンピューターゲームは普及していませんでした。テレビ番組も録画ができませんでした。受け身の娯楽は限られていました。

代わりに模型作り、アマチュア無線(ハム)、木工工作、手芸、料理といったアナログな趣味が今より身近でした。

そのせいか、何事においても、わたしたち70年代生まれより高度なものを作れる傾向でした。

「ものづくりの国」の若者らしい若者だった、最後の世代かもしれません。
(関連記事:「Made in Japan品質はいつまで続く? 君津市のトンネル事故に思うこと
バブル期に日本は何をしくじった?~駆逐される伝統」)

 

特徴4:創造力あふれた人が多い

近年、テレビで取り上げられる若者カルチャーというとハロウィーンが代表格ですね。アメリカのイベントを日本に取り入れたものです。
ユーチューバーも海外の人たちが始めたことを日本人もやりだしたことですね。大体のことに元ネタ、お手本があります。

しかし60年代生まれの若い頃は違います。

1980年代前半に竹の子族というものが注目をあつめました。若者たちが自発的に原宿の歩行者天国に集まって、独自に考えた奇抜な格好で踊ったりするのです。当時10代-20代だった60年代生まれが主体でした。
竹の子族のイベントはテレビで盛んに取り上げられ、原宿の地名が全国に広まるきっかけになりました。


竹の子族(youtubeより)

90年代に人気を集めたパラパラも、検索するとどうやら60年代生まれ世代から始まったことのようですね。

ポケモンの生みの親といわれるゲームクリエイターの田尻智さん、「メタルギア」シリーズの小島秀夫さん、「セーラームーン」作者の武内直子さんも60年代生まれです。近年だと「妖怪ウォッチ」レベルファイブの日野晃博さん、カンヌでの受賞が話題になった是枝裕和さんもそうです。

この世代が生み出すコンテンツは欧米でも人気を博す場合が多いのが特徴かもしれません。
ポケモン映画が全米一位を獲得したときは、日本初の快挙としてワイドショーでもトップニュースで取り上げられたほどでした。

コンテンツ分野だけでなく、日本で初めて国際規格に認証されたプログラミング言語rubyの開発者まつもとゆきひろ氏、かつて一世風靡したファッションブランド「サマンサタバサ」を展開した寺田和正氏もバブル世代です。サマンサタバサって外資じゃなかったんですね。

 

特徴5:日本に茶髪を広めた人たち

今の若い人にとって、髪の毛を染めることはごく普通のことでしょう。
しかし、竹の子族の写真を見てのとおり、若い人のカラーリングは昭和の時代はやらないことでした。不良の間でさえ珍しかったです。

美容の歴史サイトに、1990年ぐらいに若者の流行から始まったとあります。最初は抵抗があった人たちも、茶髪にして明るい雰囲気になった友人などを見て、我も我もと広まったのでした。
私達70年代生まれより上世代から始まった記憶があるので、やはり60年代生まれが始めたことですね。

イヤリングよりもピアスが一般的になったのも、この時期でした。男性が床屋でなく美容院に行くことがおかしくなくなったのも、このあたりでしたね。

現在にまで影響を及ぼす若者文化の大きな変化は60年代生まれが20代の頃に起きています。それまでの日本社会の常識を破り、新しいことを始めることが多い世代でした。

彼らが生み出した新たな流行は、新しいビジネスも派生させました。
上に述べたコンテンツ制作の才能も含め、60年代生まれは日本経済に大きく貢献してきたといえるでしょう。

ちなみに日本球界から初めてアメリカ大リーグに進出した野茂英雄さんも1968年生まれです。当時は彼の日本人初の挑戦がマスコミで大きくとりあげまれました。今では若手の大物選手が大リーグを目指すのは当たり前になりましたね。

 

特徴6:西洋的なものへの憧憬が強い

1960年代生まれは、物心ついたとき家にテレビがあった最初の世代です。

そして、彼らの子供時代は、テレビが普及してから今までで、最も庶民が貧しい生活をしていた時代でした。

初期~70年代頃までの日本のテレビ局はアメリカから輸入したコンテンツを盛んに放送していました。

過去記事「戦後の日本人の原風景はアメリカドラマ」でとりあげた「パパは何でも知っている」、「スパイ大作戦(ミッション・インポッシブル)」といったドラマ・・・あとは西部劇も多かったです。

畳部屋でちゃぶ台を前にして、テレビが映すかっこいいアメリカ人に憧れて育った60年代生まれは少なくないでしょう。アポロの月着陸をリアルタイムで見た人もいるはずです。

―――アメリカの素晴らしい科学力。ドラマに登場する裕福で先進的な白人の家庭。子供の意見を尊重する物分かりのよい父親。自由でのびのびした人間関係・・・

―――それにくらべて貧乏くさい日本の我が家。子供の自由など認めない厳格な父親。ちょっと猫背で歩くだけで注意してくる周りの大人たち

・・・そんな理想と現実に挟まれた彼らが10代になって、熱狂的に支持したコンテンツが二つあります。

「宇宙戦艦ヤマト」と「キャンディ・キャンディ」です。

「宇宙戦艦ヤマト」は、日本人たちが、スターシャという名前も外見も西洋風の女性の援助の申し出を信じて宇宙に旅に出る話です。

日本軍の戦艦大和エピソードと、輸入アメリカドラマ「スタートレック」を合わせたような話ですね。
敵側のデスラーも西洋人を思わせるキャラクター設定です。主人公である日本人集団だけが海外ドラマに混じり込んだような話でした。


スターシャ(youtubeより)

キャンディ・キャンディ」は金髪碧眼のアメリカの孤児の少女が、富豪の養女になり、幼い頃に見た青年の面影を求めたまま、いくつかの恋愛、苦難を乗り越えていく少女漫画です。アニメ化もされました。

舞台はアメリカで主要人物も全員白人です。しかし、日本人女性による作品です。


主人公キャンディ(youtubeより

日本人にとって、欧米人のイメージが「元敵国人」もしくは「手の届かない存在」から、「同化できる分身」に変わってきたのが、この世代からなのかもしれません
もちろん本物の欧米人ではなく、日本人が一方的に作り上げたイメージ上での話ですが。

「美少女戦士セーラーム-ン」の主人公が日本人設定でありながら金髪だったのも、作者の武内直子さんがこの世代の生まれだったゆえかもしれません。

この世代はバブル期の豊かな時代になると欧米への留学・渡航を好み、西欧ブランドのものを購入したがりました。ヨーロッパでよくみられた日本人による爆買いの主役でもありました。
(関連記事:「バブル期に日本は何をしくじった?~結婚式の変化が生んだもの」)

 

特徴7:頭のよい人が多い

今年、銀河英雄伝説のテレビアニメがリメイクされましたね。原作は80年-90年代にかけて若者の間で人気を集めたライトノベルです。

60年代生まれの人が若かった頃のライトノベルって、字がびっしりなんですよね。しかも長編が多い。

1987年に講談社X文庫ティーンズハートという、いわゆる「ゆとり風」ライトノベルが出版されたときは、その改行だらけの空白の多いページに、私達70年代生まれさえ衝撃を受けたものです。
その後、ケータイ小説ブーム、美少女ライトノベルブームとなって「一人称」で「セリフの多い」今風の作品が主流になっていきます。

数年前、10代の人に、三人称の小説は読みにくいと言われて驚いたことがあります。私のような70年代生まれでも「一人称」「三人称」など意識せず読解できるのが普通なのですから、60年代生まれにとっても勿論でしょう。

また近年は漫画も読書のうちとされていますね。しかし、80年代まで漫画は娯楽であり、読んでいると怒られるものでした。

 

・・・私が近年行きつけている店に、若いシンガーソングライターの曲を頻繁に流す店があります。

今時の歌詞って「愛してる」とか、気持ちをそのまま表す(国文法でいえば直接表現)ことが多いですね。

でも、私が若い頃に聞いた日本の歌謡曲の歌詞で、直接表現が使われていることは少なかったです。

同じようなことを感じている方は他にもいたようで、「若者 歌詞 直接表現」で検索すると「最近の歌詞は安直なのか?」という記事がトップに来ました。やはり近年のミュージシャンの歌詞の直接表現の多さを不思議がる内容です。

60年代生まれの人の例として私が挙げたいのが、レベッカのNokkoさんの作詞力です。
99年に「フレンズ」がドラマのテーマソングになっているので、若い方も知っている人は多いかもしれません。

レベッカ フレンズ 歌詞

Nokkoさんは1963年生まれ。大学を出ておらず、卒業高校の偏差値も進学校のものとは言い難いです。
それでも、この世代の人はこのレベルの歌詞が書けるんだと感心します。レベッカの曲はほとんど彼女が作詞してました。

 

なぜバブル世代は無能と言われがちなのか?

第二次ベビーブーム世代の一人として思うに、
バブル世代は無能か優秀かといわれたら、優秀です。
少なくとも下世代よりは優秀な人の割合が高いと思います

それなのに、彼らが現在、無能といわれがちな理由・・・

それは、やはり、彼らが30代-50代として社会の主力だった時代の日本が、衰退する一方だったためでしょう。
その下の氷河期世代は就職難を言い訳にできますが、彼らは出来ません。

バブル世代は、前世代が築いた経済大国日本の大きな名誉とアドバンテージを引きつぎました。しかし、失われた20年の間、それを目減りさせる一方となってしまった・・・。

―――それは一体、なぜだったのでしょう?

・60年代生まれは頑張ったが、下世代の創造性が低く、結果的に沈むこととなった

・60年代生まれ自体は優秀だったが、彼らが目標としたものが現実的ではなかった
(参考外部リンク:「楽天、アマゾンに完敗し海外事業撤退の嵐…「ガラパゴス化」加速、巨額減損の悪夢」ビジネスジャーナル
楽天 三木谷氏は1965年生まれです)

・失われた20年で失敗を重ねるうち、60年代生まれ自身も迷走し、変質していった

・・・ほかに、どんな理由が考えられるでしょう?

 

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